研究課題/領域番号 |
25400037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
毛利 出 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50436903)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非可換代数幾何学 / 多元環の表現論 / AS-regular algebra / Fano algebra / 非可換次数付孤立特異点 |
研究概要 |
最近の源泰幸との共同研究で、非可換代数幾何学における重要な研究対象であるAS-regular algebraと多元環の表現論における重要な研究対象であるFano algebraやそのpreprojective algebraとの間に三角圏を介して密接な関係があることが示されたので、本研究課題ではその結果を軸として、(1)多元環の表現論を非可換代数幾何学に応用するという新しい研究方法で、AS-regular algebraを研究することと、(2)また逆に非可換代数幾何学を多元環の表現論に応用するという新しい研究方法で、Fano algebraや非可換次数付孤立特異点を研究することを主要目的としています。 平成25年度の主な業績として、上記(1)の研究課題に関しては、非可換代数幾何学の手法を応用してFano algebraの代表的な例である2-dimensional quantum Beilinson algebraの性質を調べ、特にregular moduleの挙動について解明し、その研究成果を論文「Regular modules over 2-dimensional quantum Beilinson algebras of type S」にまとめて学術誌に投稿しました。また上記(2)の研究課題に関しては上山健太との共同研究として、AS-regular algebraの有限群作用による不変式環がいつ非可換次数付孤立特異点になるかを解明し、多元環の表現論の手法を応用してそのときの非可換射影スキームの導来圏の構造を表現することに成功し、その研究成果を論文「Ample group action on AS-regular algebras and nonommutative graded isolated singularities」にまとめて学術誌に投稿しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は論文「McKay type correspondence for AS-regular algebras」(J. London Math. Soc.)と「B-construction and C-construction」(Comm. Algebra)の2本が出版され、また論文「Regular modules over 2-dimensional quantum Beilinson algebras of type S」と「Ample group action on AS-regular algebras and nonommutative graded isolated singularities」の2本を学術誌に投稿することができた。またRIMS研究集会「非可換代数幾何学とその周辺」を含め4つの研究集会を組織し、本研究課題に必要な情報を集めることができた。以上のことより研究目的の達成度について当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度前期は教員特別研修として、アメリカのワシントン大学に滞在し、非可換代数幾何学の世界的権威であるS. P. Smith教授やJ. J. Zhang教授らと研究打ち合わせを行う予定である。特にSmith教授とはネーターとは限らないAS-regular algebraの性質について、またZhang教授とはAS-regular algebraの有限群作用による不変式環の性質について徹底的に議論する予定である。後期帰国後は上記共同研究を継続するとともに、本年度の上山健太との共同研究をさらに推し進めて、非可換次数付孤立特異点のCohen-Macaulay加群の安定圏について研究する予定である。また「Noncommutative Algebraic Geometry Shanghai Workshop 2014」など国内外の研究集会に積極的に参加・講演し、非可換代数幾何学や多元環の表現論の専門家からのフィードバックを得ながら、研究を進めていく予定である。
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