研究課題/領域番号 |
25400041
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
成瀬 弘 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20172596)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シューベルト・カルキュラス / 同変K-理論 / hook公式 |
研究実績の概要 |
当該度は、K-理論におけるシューベルト類を記述する多項式について主として調べた。従来は、差分商を用いて最長元からシューベルト多項式を生成するのであるが、グラスマン多様体の場合には、幾何学的な手法(pushforward)により分割の成分が1つの場合を繰り返し行うことで任意の分割に対応するシューベルト類を生成することができる。これを1行の母関数を作ることで、具体的な多項式と対応させることができた。さらにC型の極大ではないグラスマン多様体の場合のも拡張することができた。一方、量子コホモロジーについては、B、C、D型の極大グラスマン多様体の場合のシューベルト類が、factorial Schur P-Q-関数で代表することができるという結果についても論文をまとめた。これらは、さらに極大でないグラスマン多様体の場合にも拡張される見込みで研究を進めている。また、Id-Coxeter代数を用いて、B,C,D型の旗多様体のK-理論シューベルト類を代表する多項式の構成についても論文をほぼまとめることができた。この多項式は、前述のグラスマン多様体のK理論の場合に作られたものと一致しているはずであるが、詳細については今後検証して行くこととしたい。さらにK-理論を含む一般コホモロジーの場合についても、pushforwardにより既に得られている多項式を幾何学的に作れることも確認できた。組合せ論的な公式がこの一般コホモロジーの場合にどこまで一般化できるかについても今後の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、K理論のシューベルト・カルキュラスを研究する上で基本となる多項式について幾何学的な視点から理解を深めることができた。代数的・組合せ論的な多項式の構成についても結果をまとめることができた。特に、幾何学の側面から今まで知られていない新しい一般化の公式が得られた点で成果はあったと考えられる。組合せ論的な理解についても徐々に深化している。 また、A型の双対基底に関する行列式公式や有限和Cauchy等式の結果を発表することができた。これらの結果は、構造定数を決定するという当初の目的のために大いに役立つものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
同変シューベルトカルキュラスにおける構造定数の組合せ論的記述について今後も検討を進めて行く。Excited Young diagramや局所化での値と深く結びついているはずなので、計算機による実例計算を元に法則性を見つけて行きたい。また、Hook公式の拡張に関する予想に関連して、Hecke環の表現論についても再度見直して行きたい。さらに、同変量子コホモロジーの場合のシューベルト多項式や構造定数についても引き続き明らかにして行きたい。また、これらの対象と関連する組合せ論とその応用面について、情報収集を元に研究を進めて行く。研究成果の公表については論文にまとめるとともに、Webページなどで情報発信し、成果を研究者で共有できるようにして行きたい。
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