研究課題/領域番号 |
25400045
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小林 正典 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (60234845)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トロピカル幾何 / 代数幾何 / 制御工学 / トポロジー |
研究実績の概要 |
本研究に於いては,背景となる発想をミラー対称性から得て,超離散化と導来圏に関わる数学を,基礎と応用の両面から研究している.平成26年度においては特に以下のような活動を行った. (1)首都大学東京において定期セミナーを行い,超離散化の基礎的結果およびその工程計画問題への応用を研究した.クリティカルパスの遷移のしやすさを表す遷移グラフを,ネットワークのクラスタ化を用いて構造化するアルゴリズムを実装した.さらに,可視化の基礎となるニュートン多面体における頂点(パス)の隣接判定が多項式時間で行えることを示した.これらの結果は第55回・第56回離散事象システム研究会(高千穂町コミュニティセンター,産業技術大学院大学)において共同口頭発表を行った.その際,技術交流会にも参加した.(2)次年度に行う予定の玉原国際セミナーハウスにおける勉強会について,テーマ・主たる講演者の依頼等の準備を行った.(3)8月13日から21日までCOEX(ソウル・韓国)において行われた国際数学者会議において,Cristina Valleと特異点に関する共同研究口頭発表(審査有)を行った.(4)8月25日から30日まで北大で行われた特異点に関する国際研究集会に出席して情報収集を行った.城崎シンポジウムには別予算で出席した.(5)3月4日に首都大学東京秋葉原サテライトキャンパスで主催した小研究集会「Newton多面体に関わる代数幾何とその周辺」において研究発表および情報収集を行った.(6)資料収集として書籍を購入した. なおPCを更新予定であったものはWindows XPのサポート終了に合わせて前年度に前倒しで行った.そのために残った金額は翌年度の玉原における勉強会と,当初の予定より不足していたPDの雇用予算に充当する予定である.継続して執筆活動を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画には(1)から(6)まで6項目を特に記載した. 研究実績の概要に対応して述べたようにおおむね予定通り達成したため.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては,前年度に継続して特に次のような活動を行うことを予定している. (1)共同研究.共同研究者の異動により毎週のセミナーは行えなくなったため,集中的にセミナーを行ういつつ,超離散化の基礎的結果およびその工程計画問題への応用を,系統的に研究する.この成果は数学のみならず工学系の学会においても研究発表を行い,関連する研究者と学術交流を行う.(2)勉強会の開催.東京大学玉原国際セミナーハウスにおいて前年度からの準備に基づき,代数力学系についての勉強会を9月に共催する.(3)出張.代数幾何,特にK3曲面・特異点・トロピカル幾何・導来圏に関する情報収集と研究打合せを行う.特に,10月に兵庫県豊岡市で行われる予定の城崎代数幾何シンポジウムに参加を見込んでいる.(4)研究協力者の雇用.グラフを用いた工程計画問題や特異点の研究に役立てるためのプログラム開発,および共同研究のため,その方面に明るいポスドクを1名5月から雇用する.(5)資料収集.随時最新の資料を参照するため,電子化されていないものを中心に,書籍・資料等を備える.
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次年度使用額が生じた理由 |
・Windows XPのサポート終了に伴うPCの更新を,安全のため前年度に前倒しした. ・翌年の玉原国際セミナーハウスにおける勉強会とポスドク雇用にかかる費用が当初予定よりかさむため確保した.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究およびプログラム開発のためのポスドク雇用を手厚くする. また,玉原国際セミナーハウスにおける勉強会において資料収集整理のために謝金を支払う予定である.
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