研究課題/領域番号 |
25400049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
池田 京司 東京電機大学, 工学部, 准教授 (40397617)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 射影多様体 / ホッジ構造 / 3次曲面 |
研究概要 |
射影空間内の非特異代数多様体に対し、ある重複度の接点をもつ直線全体のなす代数多様体をグラスマン多様体の部分多様体として定義し、その上での周期積分により定まるホッジ構造を用いて射影多様体の幾何学的性質を解明することが本研究の課題である。 本年度は、接線の多様体の一般論に関して、射影多様体の次元と重複度により、接線の多様体の期待次元を定め、射影空間内での変形に関して一般の射影多様体について、接線の多様体が非特異となりその次元が期待次元と一致するかどうかを考察した。 また、通常2重点を2個もつ3次曲面に対する重複度3の接線の多様体を詳しく考察した。この場合、接線の多様体は小平次元が1の代数曲面となり、そのピカール数は26以上30以下であることを示した。また、付随する周期写像の逆写像をピカール保型形式を用いて具体的に記述した。モジュライ空間は2次元であるが、その中の幾何学的に特別な意味を持つ1次元ローカスにおいて、接線の多様体のピカール数を周期積分の値を用いて具体的に判別する結果が得られた。これにより接線の多様体のピカール数が26、27、28、30となる3次曲面の存在が示される。周期積分の具体的値によるピカール数の判別は、アーベル曲面やK3曲面などでは知られているが、小平次元が1以上の曲面については、それほど知られている例はなく意義のある結果であると思われる。この結果から接線の多様体のピカール数が29となる3次曲面の非存在が予想されるが、これについては今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常2重点を2個もつ3次曲面の接線の多様体の周期写像について、その逆写像をピカール保型形式を用いて記述し、接線の多様体のピカール数の様な幾何学的性質を具体的に記述する結果が得られたことは当初の計画通りである。 一方、接線の多様体の一般論の整備に関しては、射影空間内における変形で一般の多様体に付随する接線の多様体が非特異になるための条件が十分に整理できていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず前年度に一部残された、接線の多様体の非特異性に関する条件を整備した後、当初の実施計画通り研究を進める。 平成26年度は、3次曲面の接線の多様体の研究を、周期写像のコンパクト化と関連付けて進め、モジュライ空間の次元がより高い場合の様子を解明する。 また一般論の整備に関して、接線の多様体のオイラー数やベッチ数などの位相的不変量を具体的に計算する方法を明示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
発注した書籍の納品が次年度となったため。 発注済みの書籍の購入に使用する。
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