研究課題/領域番号 |
25400059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 剛 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (60390431)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ガロワ点 / 射影代数超曲面 / 射影 / ガロワ閉包 / 二面体群 / 準ガロア点 / ガロワ・ワイエルシュトラス点 |
研究概要 |
射影空間内の代数超曲面の関数体の構造について、ガロワ点理論の拡張となる新しい考察手法を開発することを目標に研究を行っている。射影空間内の代数超曲面の射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大となるときに、射影の中心点をガロワ点と呼ぶ。関数体の拡大がガロワ拡大とならない場合にはそのガロワ閉包を研究対象とすることになるが、具体的にはどのように考察すべきなのか、というのが本研究の主なテーマである。平成25年度には以下のような結果を得ることができた。 1.射影平面内の非特異5次代数曲線について、射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大とはならない場合の中心点について研究を行った。特に、そのガロワ群が位数8の二面体群になる場合に、そのような射影の中心点の幾何的特徴と個数、分布について精密な結果を得ることができた。この結果を論文にまとめ、査読付き学術雑誌に投稿した。本論文の内容はガロワ点理論の拡張を目指す際にはまず初めに考察すべき事柄であり、今後の研究発展に対して「はじめの一歩」となるであろう重要なものである。 2.代数曲線のガロワ・ワイエルシュトラス点と平面代数曲線のガロワ点との間の関係について、米田二良氏(神奈川工科大学)と共同研究を行った。ガロワ点を持つ平面代数曲線からガロワ・ワイエルシュトラス点をもつ代数曲線が構成できることや、その逆についてある程度の結果を得ることができた。今後さらに研究を進めて内容を充実させた後に、論文にまとめる予定である。これまでのガロワ点関係の研究結果には見られない新しいタイプの定理であり、ガロワ点理論の拡張において意義のある結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
射影空間内の代数超曲面の射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大となるときに、射影の中心点をガロワ点と呼ぶ。関数体の拡大がガロワ拡大とならない場合にはそのガロワ閉包を研究対象とすることになるが、具体的にはどのように考察すべきなのかということを研究するのが主なテーマである。 これに対してまず初めに考察すべきである、射影平面内の非特異5次代数曲線について詳細な結果を得ることができた。具体的には、射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大とはならない場合の中心点について、特にそのガロワ群が位数8の二面体群になる場合に、そのような射影の中心点の幾何的特徴と個数、分布について精密な結果を得ることができた。これは今後の研究発展に対して「はじめの一歩」となるであろう重要な結果であると思う。 代数曲線のガロワ・ワイエルシュトラス点と平面代数曲線のガロワ点との間の関係についての米田二良氏(神奈川工科大学)との共同研究の成果は、当初の研究計画の予想の範囲外のものである。本成果をきっかけにして、ガロワ点理論の新しい拡張の方向性が見いだされることが期待される。 一方、射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大とならない場合に、そのガロワ閉包を関数体とする代数多様体の具体的構成方法の研究については、進展が見られなかった。問題が当初の予想よりも難し過ぎるのが原因かもしれない。問題設定の見直しも含めて、次年度以降の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
射影平面内の非特異5次代数曲線について、射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大とはならない場合の中心点について研究を行った。特に、そのガロワ群が位数8の二面体群になる場合に、そのような射影の中心点の幾何的特徴と個数、分布について精密な結果を得ることができた。より高次数の平面代数曲線に対して、この研究結果を拡張していきたい。 代数曲線のガロワ・ワイエルシュトラス点と平面代数曲線のガロワ点との間の関係について、米田二良氏(神奈川工科大学)と今後さらに研究を進めて内容を充実させた後に、論文にまとめる予定である。 射影から得られる関数体の拡大がガロワ拡大とならない場合に、そのガロワ閉包を関数体とする代数多様体の具体的構成方法の研究について、研究の手掛りを探っていく。特に問題を具体的な対象に絞り、射影平面内の非特異5次代数曲線について、射影から得られる関数体の拡大のガロア群が四次交代群になる場合について研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は2,476円と少額であり、これは誤差の範囲であり、ほぼ予算額の全額を使用したと言って良い。 次年度使用額の2,476円は少額であり、次年度の予算計画に変更が必要となるものではない。あえて使用計画を挙げるとするならば、文房具代に当てる予定である。
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