研究実績の概要 |
昨年度、ルート系から定まるShi配置及びLinial配置の特性多項式を、余ウェイト格子点の数え上げ理論を使って記述することに成功した。より正確には、ルート系の基本アルコブのEhrhart準多項式と(Lam-Postnikovによって導入された)ルート系のオイラー多項式を用いて、Linial配置の(紙屋ー竹村ー寺尾の意味での)特性準多項式の記述をする公式を得た。これらの成果は、古典的なオイラー多項式に関しても興味深い側面を明らかにしている。例えば、Linial配置の定義に含まれているパラメータnを「形式的に」n=0とすると、超平面配置としては空超平面配置を考えていると自然に解釈できるが、1883年に得られているWorpitzkyの公式が復元できる。また、A型ルート系については、Postnikov-Stanley, Athanasiadisによって、Linial配置の特性多項式の明示的な公式が得られているが、それと今回の公式を比較することで、オイラー多項式が非自明な合同式を満たすことが分かる。 今年度は、Linial配置の研究から得られたオイラー多項式の新た性質について、超平面配置を介しない研究を行った。 昨年度から引き続き、超平面配置のミルナーファイバーのモノドロミーの実構造を使った研究を行った。特に、一次の整数係数ホモロジーを計算するアルゴリズムを定式化し、Torsionの存在に関する研究を開始した(M. Torielliとの共同研究)。 国内外の研究集会やセミナーで、今年度及び前年度の成果に関する研究発表を行った。
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