研究課題/領域番号 |
25400062
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
剱持 勝衛 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60004404)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 平均曲率ベクトル / 一定平均曲率 / 複素空間形 |
研究実績の概要 |
本研究では複素2次元複素空間形内の実2次元一定平均曲率曲面において、平均曲率ベクトルが法接続に関して平行な場合についてその局所構造を明らかにした。特に、外側の空間が平坦でない場合、このような曲面の第一、第二基本形式を一つの調和関数と5個の実定数で具体的に表すことができた。 この研究における最大のポイントは、(1)第2基本形式をChern-Wolfsonに従って分解したときの一つの成分がケーラー角度関数で定められること、(2)ケーラー角度関数が満たす2階楕円型微分方程式の解がある調和関数とこのはめ込みから定められるある関数との合成によって得られることを証明できたことである。(1)についてはコンピューターによる非常に長い計算で成立することは本代表者によるこれまでの研究でわかっていたが、平成26年度においてその証明の簡略化に成功したことである。(2)については、3次元ユークリッド空間内の極小曲面はワイシュトラスデータにより複素関数論と深い関係があることは知られているが、調和関数は複素解析的関数の実部であることから、複素空間形内の一定平均曲率曲面においても関数論と関係することが明らかになったことが意義深い。応用として、リーマン面を局所的に複素射影平面や複素双曲平面にはめ込むことができるというはめ込み定理を得た。この結果は極小曲面論におけるワイエルシュトラスの表現公式の無限小版ともいうべきものであって、非常に意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
求めようとしている曲面が満たすべき局所構造を完全に明らかにしたから。
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今後の研究の推進方策 |
求める曲面はトーラスから複素空間形へのはめ込みである。昨年度までに得られた諸結果は局所的であった。 本年度は、それらの情報を使って大域的性質を導き、更にこれまでに知られている正則2次微分に研究代表者によって得られた情報を加え、コンパクトな曲面に関する成果を得る。次に、このようにして得られた第一、第二基本形式が2重周期をもつかどうか研究する。 もし、周期性があれば、最後になすべき作業ははめ込み自身の周期性のチェックである。
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