研究課題/領域番号 |
25400069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
入谷 寛 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20448400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子コホモロジー / グロモフ・ウィッテン理論 / ミラー対称性 / トーリック多様体 / 軌道体 / クレパント解消 / ガンマ類 / ファノ多様体 |
研究実績の概要 |
(1) Vasily Golyshev,Sergey Galkin両氏との研究ではファノ多様体に対するガンマ予想を定式化し,グラスマン多様体の場合に証明を与えた.本年度はその結果を論文にまとめプレプリントとして発表した. (2) Tom Coates, Yunfeng Jiang 両氏との研究ではトーリック軌道体とその完全交差のGromov-Witten理論に対する種数0でのクレパント解消予想を証明し,量子コホモロジーの同型がガンマ整構造を通じて導来圏の間のフーリエ・向井変換から誘導されることを証明した.本結果はプレプリントとして公表した. (3) Tom Coates氏との共同研究では,「半無限Hodge構造」の変動に付随するFock層を構成した.Fock層はGiventalの量子化作用素によって張り合わされたFock空間の層であり,Hodge構造に実構造があるときその切断は「正則異常方程式」の類似を満たす.この枠組みを用いてトーリック多様体に対する高種数のクレパント解消予想が示される.本年度はFock層の基礎付けを論文にまとめ,プレプリントとして公表した. (4) Etienne Mann, Thierry Mignon 氏との共同研究ではCoates-Giventalによる量子Serreを量子D加群の間の双対性として定式化し直した.またCalabi-Yau超曲面の量子D加群がambient空間の量子コホモロジーの第2構造接続として記述できることを示した.この記述はFano多様体の反標準切断の量子D加群に対する代数的な記述を与える.本結果もプレプリントとして公表した. (5) トーリック多様体の同変量子コホモロジーに定義されるシフト作用素について調べ,シフト作用素がGiventalのミラー定理やLandau-Ginzburg模型に基づくミラー対称性を自然に「復元する」ことを示した.特に大量子コホモロジーのミラーの原始形式がGromov-Witten不変量の言葉で記述される.本結果もプレプリントとして公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はガンマ予想の定式化,クレパント解消予想の証明,Fock層の厳密な定式化,トーリックミラー対称性の自然な証明など,多くの成果を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
クレパントではない場合の量子コホモロジーやGromov-Witten理論の変化,トーリック完全交差以外の多様体に対するクレパント解消予想やガンマ予想の解決,さらに高種数Gromov-Witten理論の保型性などの研究を進める.また開Gromov-Witten不変量,conifold point の周りでの理論,非線形FJRW理論,extremal transitionの下でのGromov-Witten理論の変化についても調べていく予定である.
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