研究課題
27年度はJifu Xiao氏との研究において量子コホモロジーの端転移(あるいはコーニフォールド転移)の下での変化を調べた.端転移とは射影多様体のある種の手術であって,なめらかな多様体の部分多様体をつぶして特異点を持つ多様体を作り,さらにそれを滑らかにする(平滑化する)操作である.Li-Ruanの研究で3次元コーニフォールド転移の場合に端転移のグロモフ・ウィッテン理論がある種の解析接続でつながることはよく知られていた.本研究では量子コホモロジーの間の解析接続の関係を詳しく調べ,平滑化後の多様体の量子コホモロジーがつぶす前の多様体の量子コホモロジーの部分商としてかけること,を観察した.さらにこの現象がグラスマン多様体の高次元の例で成立することを検証した.本成果はKyoto Journal of Mathematicsに掲載予定である.またSergey Galkin氏との研究において,ガンマ予想のミラー対称性を用いた説明を与えた.ガンマ予想とはファノ多様体の量子コホモロジーに付随する微分方程式の解からファノ多様体のガンマ類が再構成される,とする予想である.ミラー対称性を用いてファノトーリック多様体やその完全交差に対してガンマ予想を(条件付きで)証明した.またグラスマン多様体に対するガンマ予想の別証明を与え,ガンマ予想が量子レフシェッツ原理と整合的であること,より正確には,反標準因子により埋め込まれたファノ多様体に対してガンマ予想の成立は超平面切断をとる操作で保たれること,を示した.本成果はプレプリントとして公開している.以上の研究の他に,トーリック軌道体のミラーの対数的齋藤構造を構成し,ホッジ理論的ミラー対称性を非常に一般的な設定で調べている.本成果は次年度以降に論文にまとめる予定である.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Compositio Mathematica
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https://www.math.kyoto-u.ac.jp/ja/people/profile/iritani