研究課題/領域番号 |
25400070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
井川 治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60249745)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対称三対 / 超極作用 / Hermite対称空間 / 実形 |
研究概要 |
筑波大学 田崎博之,東京理科大学 田中真紀子と共同でコンパクト型エルミート対称空間の正則等長変換の不動点集合が離散的になるための条件と離散のときの不動点集合の決定,二つの実形の交叉が離散的になるための条件と離散なときの交叉の決定,実形の交叉と正則等長変換の不動点集合の関係について調べ,結果が得られた.これらの研究に研究代表者の定義した対称三対を応用することができた.これまで対称三対はHermann作用の軌道の性質を調べるときに用いていたが,実形の交叉の研究にも非常に役立つことがわかった.成果について「部分多様体幾何とリー群作用」(東京理科大学),部分多様体論・湯沢2013において発表した.現在,共著論文を執筆中である. σ作用と呼ばれるコンパクトリー群への超極作用へ対称三対の適用を試み,コンパクトリー群が古典型の単純リー群でσが対合の場合には適用できることがわかった.したがって,この場合にはσ-作用の軌道空間と個々の軌道の性質がわかった.成果についてはICM2014 Satelliteで発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の方向は当初計画していたものと異なるものになったが,対称三対が実形の交叉に使えるという予想外の成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の定義した対称三対について(1) 基礎理論の整備,(2) 適用範囲の拡大,(3) 応用を試みる. (1)に関しては福島高専 馬場蔵人とコンパクト対称三対の定める二つの佐武図形から重複度付き対称三対の情報を読み取る研究を行う.対称対の局所同型類は佐武図形で定まるが,(1)の研究はこの結果のコンパクト対称三対版と言える. (2)に関しては筑波大学 田崎博之とσ作用と呼ばれるコンパクトリー群への超極作用へ対称三対の適用を試みる.σ-作用をHermann作用と見るとき,これが可換なHermann作用になるための条件はσが対合になることである.コンパクトリー群が古典型の単純リー群でσが対合の場合には既に適用できることがわかったので,コンパクトリー群が例外型でσが対合の場合と,コンパクトリー群が8次の特殊直交群でσが位数3の場合が問題となる.コンパクトリー群が例外型でσが対合の場合には,対称三対が適用でき,σ-作用の軌道空間と個々の軌道の性質が明らかになると期待される.例外群を具体的に与えたとき,重複度付き対称三対を決定するためにVogan図形が利用できると期待している.コンパクトリー群が8次の特殊直交群でσが位数3の場合には,非可換なHermann作用なので対称三対が使えることは期待できないが,この場合が最も簡単な非可換Hermann作用であり,この場合に軌道空間や個々の軌道の性質を調べられれば,これまで手がつかなかった非可換Hermann作用の性質を調べる手がかりが得られる.この意味でこの問題は非常に興味深い. (3)に関しては田崎博之,東京電機大学 入江博,首都大学東京 酒井高志と共同で複素旗多様体の実形を分類し,交叉の記述への応用を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
図書が予定より安く購入できたため. 主に図書費に使用する.
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