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2015 年度 実施状況報告書

対称空間内の部分多様体と平均曲率流の無限次元幾何及び複素化を利用した研究

研究課題

研究課題/領域番号 25400076
研究機関東京理科大学

研究代表者

小池 直之  東京理科大学, 理学部, 教授 (00281410)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード平均曲率流 / 体積を保存する平均曲率流 / 正則化された平均曲率流 / 対称空間 / ヒルベルト空間
研究実績の概要

1.前年度までに、無限次元ヒルベルトリー群のある種の余等質有限な概自由な等長作用をもつ無限次元ヒルベルト空間内の、その作用によって不変な超曲面を初期データにもつ(正則化された)平均曲率流の研究を推進し、その平均曲率流に沿ってある種の強凸性条件が保存されること、さらに、有限時間でその作用の一つの軌道に崩壊することを示すための道筋を構築した。本年度、その崩壊定理を示すために必要な全臍性への収束定理を示した。
2.(実)双曲空間以外の階数1の非コンパクト型対称空間内の不変部分多様体上の半径が一定でないチューブを発する体積を保存する平均曲率流(volume-preserving mean curvature flow)の研究を推進し、初期半径関数に関するある仮定の下で、その曲率流に沿って、チューブ性が保存されることを示し、さらに、そのチューブがその曲率流に沿って、有限時間でその軸である不変部分多様体に到達するか、あるいは、無限時間である一定の平均曲率をもつチューブに収束するかのいずれかが成り立つことを示した。
3.階数1の非コンパクト型対称空間内のあるピンチング条件を満たす星状型超曲面を初期データにもつ逆平均曲率流の星状型解の平均曲率の下からの評価を得た。
4.既約な局所対称空間内のcurvature-adaptedな超曲面(つまり、形作用素と法ヤコビ作用素が可換であるような超曲面)を初期データにもつ平均曲率流に沿う、形作用素と法ヤコビ作用素の交換子積に対する発展方程式を得、その発展方程式を用いてその曲率流に沿うcurvature-adapted性の保存性について、一つの事実を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度中に、無限次元ヒルベルトリー群のある種の余等質有限な概自由な等長作用をもつ無限次元ヒルベルト空間内の、その作用によって不変な超曲面を初期データにもつ(正則化された)平均曲率流の研究を推進し、その平均曲率流に沿って、その超曲面が有限時間でその作用の一つの軌道に崩壊することを示すために必要な全臍性への収束定理を示すことができたが、一つの軌道への崩壊性を示すことはできなかった。また、(実)双曲空間以外の階数1の非コンパクト型対称空間内の不変部分多様体上の半径が一定でないチューブを発する体積を保存する平均曲率流(volume-preserving mean curvature flow)の研究を推進し、初期半径関数に関するある仮定の下で、その曲率流に沿って、チューブ性が保存されること、さらに、そのチューブがその曲率流に沿って、有限時間でその軸である不変部分多様体に到達するか、あるいは、無限時間である一定の平均曲率をもつチューブに収束するかのいずれかが成り立つことを示すことができた。さらに、既約な局所対称空間内のcurvature-adaptedな超曲面(つまり、形作用素と法ヤコビ作用素が可換であるような超曲面)を初期データにもつ平均曲率流に沿う、形作用素と法ヤコビ作用素の交換子積に対する発展方程式を得、その発展方程式を用いてその曲率流に沿うcurvature-adapted性の保存性について、一つの事実を得ることができた。

今後の研究の推進方策

今後、無限次元ヒルベルトリー群のある種の余等質有限な概自由な等長作用をもつ無限次元ヒルベルト空間内の、その作用によって不変な超曲面を初期データにもつ(正則化された)平均曲率流に沿うその超曲面の有限時間での(その作用の)一つの軌道への崩壊性定理の証明を完成させる予定である。また、(実)双曲空間以外の階数1の非コンパクト型対称空間内の不変部分多様体上の半径が一定でないチューブを発する体積を保存する平均曲率流(volume-preserving mean curvature flow)の研究を推進し、初期半径関数に関するある仮定の下で、さらにどのような追加条件を課せば、そのチューブがその曲率流に沿って、無限時間で半径一定のチューブに収束するのかを調べる予定である。さらに、対称空間内のイソトロピー作用に関して不変なsoap bubbleが、低次元のユークリッド空間内の球面を初期データにもつある種の修正平均曲率流の極限から構成されることを示し、さらに、その形状、および、平均曲率の評価を得る予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A holonomy invariant anisotropic surface nergy in a Riemannian manifold2016

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 雑誌名

      Differential Geometry and its Applications

      巻: 44 ページ: 98-121

    • DOI

      10.1016/j.difgeo.2015.11.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On the indices of minimal orbits of Hermann actions2015

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 雑誌名

      Hokkaido Mathematical Journal

      巻: 44 ページ: 251--275

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The inverse mean curvature flow in rank one symmetric spaces of non-compact type2015

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike and Yusuke Sakai
    • 雑誌名

      Kyushu Journal of Mathematics

      巻: 69 ページ: 259--284

    • DOI

      10.2206/kyushujm.69.259

    • 査読あり
  • [学会発表] Volume-preserving mean curvature flow for tubes in symmetric spaces2016

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 学会等名
      The 11th OCAMI-RIRCM Joint Differential geometry Workshop on Submanifolds and Lie theory
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2016-03-20 – 2016-03-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 平均曲率流に沿うcurvature-adapted性の保存性について2016

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 学会等名
      日本数学会2016年度会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-18
  • [学会発表] 無限次元線形空間へのリフトを利用した平均曲率流の研究について2016

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 学会等名
      Geometric flows and related problems
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2016-03-04 – 2016-03-04
    • 招待講演
  • [学会発表] リーマン多様体における平均曲率流の無限次元線形空間へのリフトについて2015

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 学会等名
      第138回神楽坂幾何セミナー
    • 発表場所
      東京理科大学
    • 年月日
      2015-11-28 – 2015-11-28
  • [学会発表] 対称空間内のチューブを発する体積を保存する平均曲率流2015

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Koike
    • 学会等名
      日本数学会2015年度秋季総合分科会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-13

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公開日: 2017-01-06  

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