研究課題/領域番号 |
25400081
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
梶浦 宏成 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30447891)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホモトピー代数 / ミラー対称性 / ホモロジー代数 / 圏論 |
研究実績の概要 |
当年度はトーラスのホモロジー的ミラー対称性に関する理解がより深まった。シンプレクティック多様体に対し、深谷圏を呼ばれるA∞圏を考えることができる。A∞圏はホモトピー代数的構造を持つ圏の典型例である。一方、複素多様体上では連接層の導来圏を考えることができる。導来圏は三角圏の典型例である。A∞圏から三角圏を得る方法も存在し、そうして得られる三角圏を三角A∞圏と呼ぶ。ミラー対称性(予想)とはシンプレクティック多様体と複素多様体の間のある対応であり、対応するシンプレクティック多様体と複素多様体の対はミラー対などと呼ばれる。いくらかミラー対の構成を知られていて、実際そのミラー対は様々な同値な構造を持つ。特にミラー対であるシンプレクティック多様体と複素多様体に対し、それぞれ深谷圏の三角A∞圏と連接層の導来圏を考えると両者は三角圏として同値になるという予想がホモロジー的ミラー対称性予想である。当年度は特に、シンプレクティックトーラス上の深谷圏の三角A∞圏の三角構造についての理解と、そのA∞構造の間の関係についての理解を得た。これらの結果に関しては論文を準備中である。
一方、ホモトピー代数の有理ホモトピー論への応用についても研究した。ホモトピー代数の典型例であるA∞代数のある種の可換化としてC∞代数というものがある。サリバンによって有理ホモトピー型はある可換DG代数の同型類と一対一に対応することが知られているが、カデイシビリらによって、それらのDG代数の同型類は極小C∞代数の同型類と一対一に対応することが知られている。実際極小C∞代数を分類することによってあるクラスの有理ホモトピー型の分類が比較的簡単にできることをいくつかの具体例でみてみた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度は複数の修士2年の学生の修士論文に関する指導に時間を割き、研究する時間をあまり確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(高次元)トーラスや、それを含むカラビ・ヤウ多様体の場合を超え、カラビ・ヤウでないケーラー多様体をシンプレクティック多様体とみなしたときのホモロジー的ミラー対称性のSYZミラー対称性によるアプローチによる定式化を、三角構造に注目することによって試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会等に参加する時間が予定より少なくなったため次年度使用額が生じたが、次年度研究会を開く予定なので特に問題はない。
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次年度使用額の使用計画 |
研究会を開き多数の講演者を呼ぶ予定である。
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