研究課題/領域番号 |
25400082
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 久顕 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20323777)
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研究分担者 |
菊池 和徳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40252572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 4次元多様体 / 写像類群 / Lefschetzファイバー空間 / チャート表示 / 符号数 / ファイバー和 / 曲面結び目 / Morse-Novikov数 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、平成25年度基盤研究(C)(一般)研究計画調書「研究計画・方法」欄および平成25年度科研費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書「平成27年度の研究実施計画」欄に記載した計画に基づいて実施された。また、平成26年度に開始した新しい研究課題に関する研究も引き続き実施した。 平成25年度に実施した超楕円的Lefschetzファイバー空間の不変量に関する研究(鎌田聖一氏(大阪市立大学)との共同研究)については、不変量によって区別できる新たな具体例が見つかるなどの進展があった。この研究結果を含む一連の研究をまとめた共著論文を執筆し、平成27年10月に専門雑誌に投稿した。尚、鎌田氏との先行研究をまとめた論文は、平成27年12月にTopology and its Applications誌に掲載された。 Lefschetzファイバー空間の安定化に関する、鎌田氏・長谷川功氏(厚生労働省)・田中心氏(東京学芸大学)との共同研究については、平成26年度に共著論文を執筆し、Geometry & Topology Monographs誌に投稿したところ、平成27年4月に同誌への掲載が決定され、平成27年12月に同誌に掲載された。 以上により、交付申請書に記載した研究の目的のうち、第1の目的である「チャート表示を用いたモノドロミーの研究」に関しては十分な成果が得られたと言える。 4次元多様体のMorse-Novikov理論に関するAndrei Pajitnov氏(ナント大学)との共同研究については、平成26年度に得られた結果に具体的なMorse-Novikov数の計算例を加えた論文を執筆中である。 日本数学会「数学」編集部よりLefschetzファイバー空間に関する論説の執筆依頼があった。平成27年7月に論説を投稿したところ、平成27年9月に同誌への掲載が決定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鎌田聖一氏と長谷川功氏によって構築された一般チャート理論をLefschetzファイバー空間へ応用する研究については、上記の「研究実績の概要」に記載したとおり、十分な成果が得られた。また、Andrei Pajitnov氏との共同研究により、曲面絡み目にMorse-Novikov理論を応用する道が開け、4次元トポロジーの研究に新しい方向が生まれた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度基盤研究(C)(一般)研究計画調書「研究計画・方法」欄および平成25年度科研費助成事業(学術研究助成基金助成金』交付申請書「平成27年度の研究実施計画」欄に記載した計画に基づいて実施する。特に、交付申請書に記載した研究の目的のうち、第3の目的である「Lefschetzファイバー空間の新しい不変量の探求」に関しては、Diracブレイドに由来する超楕円的Lefschetzファイバー空間の不変量が得られているのみであるので、新たな不変量につながる可能性のある数学的概念を積極的に探したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は平成27年度に所属部局において管理職にあり、平成28年4月の教育研究組織の改編に備えて様々な業務に従事したため、研究成果発表の機会や論文投稿のための準備時間を確保することが難しい状況であった。そのため、旅費や論文投稿料などを全て使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
補助事業期間延長が承認されたので、成果発表を含めた研究交流および論文の投稿を行い、研究を完遂したいと考えている。
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