研究課題/領域番号 |
25400084
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
坪井 堅二 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50180047)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 変換群 / 楕円型作用素 / 同変行列式 |
研究実績の概要 |
偶数次元の向き付け可能な閉多様体上に有限群が作用するとき,回転群の表現から与えられるベクトル束に値を持つ符号作用素の同変行列式の値を多様体の位相不変量と作用の固定点情報から正確に求める公式を得ることを本研究の目的としていたが,Zagierによる cotangent 達の積を有理数として表す公式を一般化してcosineとcotangent達の積を有理数で表す公式を作ることにより,上記の同変行列式の値を多様体のポントリャーギン数と固定点における回転角(群作用による固定点の接空間上の線形作用の固有値)から正確に求める公式を得ることに成功した.また,その公式の応用例として以下の結果を得た.2次元閉多様体(コンパクト・リーマン面)の場合は,同変行列式ID一般に対して成り立つ性質 ID(gのn乗)=n×ID(g) を符号作用素に適応した条件が,巡回群の位数が奇素数の場合にHarvey によって既に得られている巡回群作用の存在条件と同じ条件になることを示した.4次元閉多様体の場合は,ベクトル束値符号作用素の同変行列式が常に ID(g)=0 を満たし,固定点における回転角と多様体の符号数との関係を与えることを示した.その例として,ある回転角を取る巡回群作用が,その回転角に対応する一連の符号数を持つ4次元閉多様体においては存在しないことを示した.6次元閉多様体の場合は,あるisotropy order の6次巡回群作用に対して,ベクトル束値符号作用素の同変行列式に対して同変行列式の基本性質ID(gのn乗)=n×I_D(g)が成り立たないことを示し,そのような6次巡回群作用は全ての6次元閉多様体が許容しないことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偶数次元の向き付け可能な閉多様体上に有限群が作用するときの符号作用素の同変行列式を正確に求める公式とその応用例に関しては既に論文にまとめている.現在は論文内容の最後の確認の段階にあり,近いうちに投稿する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
偶数次元の向き付け可能な閉多様体上に有限群が作用するときの符号作用素の同変行列式を正確に計算できる公式の作成の過程で,多様体の次元が4の倍数のときには,他の場合よりも強い結果が得られることがわかった.次元が4の場合の公式の応用例は既に得ているが,さらに,8次元,12次元などの場合の応用例を作ることを検討する.また,有限群が作用の固定点集合は点のみからなるという仮定の下で同変行列式の計算公式を得ているが,固定点集合が次元を持つ場合を検討する.特に,4次元概複素多様体上の有限作用の固定点集合が次元を持つ場合の同変行列式の計算公式を得ることを目的とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では予定していなかった結果を得るため.
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次年度使用額の使用計画 |
資料および情報の収集のために使用する.
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