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2014 年度 実施状況報告書

有理ホモロジー球面の量子不変量から得られる級数と関数の性質とその拡張の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25400094
研究機関九州大学

研究代表者

高田 敏恵  九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (40253398)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードfree energy / 量子不変量
研究実績の概要

Vogel によって定義されたLie algebraを統一すると考えられるUniversal Lie algebra が定義され、それは3つのパラメータをもつ。Mkrtchyanは、3次元球面の量子不変量がその3つのパラメータで表せることを示した。3つのうちの1つは、Nであり、他の二つの値をSU(N)に与えるものにしたとき、それはSU(N) free energyに対応するものである。さらに、Mkrtchyanは、3次元球面SU(N) free energyの積分表示、Barnes G-functionによる表示を与え、両方から、Gopakuar-Vafa invariantsを通したSU(N) free energyの表示が得られることを示した。これらのSU(N) free energyの表示は、前研究課題でえられたレンズ空間のSO(N) free energyとSp(N) free energy に対応するものであり、それらを比較することにより、Mkrtchyanによる上記のSU(N) free energyに対する結果のレンズ空間への拡張を考察した。
また、結び目の量子不変量n-colored Jones polynomialのnが十分大きいとき、maximum degreeとminimum degreeと結び目のboundary slope の関係をあたえるslope conjecture に関して、茂手木公彦氏と共同研究行い、slope conjectureが正しい2つの結び目から得られる合成結び目に対するslope conjectureも正しいこと、cable結び目のslope conjectureに対する結果を利用し、双曲体積が0である結び目については、slope conjectureが正しいことを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ザイフェルト多様体に対するSU(N) free energy の明確な公式の導出のために、free energy にあらわれる、generalized Catalan number の計算法について、GoldshroughらによるCatalan tree graphs、Catalan numberの生成関数を考えることによって得られた結果の応用を考察したが、具体的なgeneralized Catalan numberの結果には至らなかった。
Mkrtchyan はVogel によって定義されたUniversal Lie algebraの3つのパラメータによる、3次元球面の量子不変量の表示(2つのパラメータを具体的に値にするとSU(N) free energyがでると考えられる)、積分表示、Barnes G-functionによる表示を与え、それらの関係を示した。これらの結果のレンズ空間への拡張を考察したが、解析的議論の知識不足により、結果をえることができなかった。
また、結び目のcolored Jones polynomial のslope conjecture の証明を目的として、無限個の非交代双曲結び目を含む、周期結び目のあるクラスについて、colored Jones polynomial の公式とmaximum degree、また、boundary slope の計算はできたが、minimum degree の導出に至らず、予想の証明には至らなかった。

今後の研究の推進方策

Mkrtchyan による、Vogel によって定義されたUniversal Lie algebraの3つのパラメータによる、3次元球面の量子不変量の表示は、2つのパラメータを具体的に値にするとSU(N) free energyがでると考えられる。それを現在得られている、レンズ空間のSU(N) free energyの公式との比較により、Universal Lie algebraの3つのパラメータによる、レンズ空間の量子不変量の表示導出を試みる。Mkrtchyan による、3次元球面の量子不変量の積分表示、Barnes G-functionによる表示の結果のレンズ空間への拡張の前年度の考察をもとに、必要となる解析的な知識を身に着け、拡張を行う。また、free energy の解析的性質の研究を行う。
この研究手法において、SU(N)だけでなく、SO(N), Sp(N) の場合も同時に考えていきたい。
また、結び目のcolored Jones polynomial のslope conjecture の証明を目的として、無限個の非交代双曲結び目を含む、周期結び目のあるクラスについて、前年度えられたcolored Jones polynomial の公式をもとにそのminimum degree の計算を引き続き行い、それらのクラスについて slope conjecture の証明を行う。前年度得られたこの公式は、一般の組みひも表示からの計算に応用が可能であると考えられる。これをもとに、予想が証明されていない他の結び目についても、slope conjectureの証明を試みる。

次年度使用額が生じた理由

残金の不足により、洋書購入を見合わせた。

次年度使用額の使用計画

前年度、購入を見合わせた洋書を購入する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] On the Kashaev invariant and the twisted Reidemeister torsion of two-bridge knots2015

    • 著者名/発表者名
      大槻知忠, 高田敏恵
    • 雑誌名

      Geometry and Topology

      巻: 19 ページ: 853~952

    • DOI

      10.2140/gt.2015.19.853

    • 査読あり
  • [学会発表] On the slope conjecture for cables of knots2014

    • 著者名/発表者名
      高田敏恵
    • 学会等名
      2014年度東北結び目セミナー
    • 発表場所
      秋田市カレッジプラザ
    • 年月日
      2014-10-19
    • 招待講演
  • [学会発表] On the Kashaev invariant and the twisted Reidemeister torsion of two-bridge knots2014

    • 著者名/発表者名
      高田敏恵
    • 学会等名
      Quantum Topology and Physics 2014 Fukuoka
    • 発表場所
      九州大学西新プラザ
    • 年月日
      2014-09-18
    • 招待講演

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公開日: 2016-05-27  

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