研究実績の概要 |
1.F をコンパクト多様体 M 上の葉層構造とし、g を,葉向リーマン計量とする。このとき、葉向ラプラシアンが定まり、それが消える関数を葉向調和関数と呼ぶ。(M,F,g) が定値でない連続な葉向調和関数を持つかという問題は興味深く、様々な研究がなされている。本研究では、この問題を、F が余次元 1 の場合に考え、次を得た。「 F が横断的に等長的なとき、M 上の連続葉向調和関数は定値関数に限る。」この結果は、Feres と Zhegib による、先行研究において、必要であった 計量 g に関する条件を取り払うことに成功したものである。証明は、葉向ブラウン運動の性質をくわしく調べることにより、与えられたものである。 2. 25年ほど前に Etienne Ghys により次のような問題が挙げられた。「 n 次元の多様体の Cr 級微分同相写像のなす群が n-1 以下の次元の多様体に Cp 級に作用することができるか」作用を連続なものに限れば、できないことは30年以上前から知られていた。したがって、問題は連続とは限らない作用に関するものである。これについて 2012年にKathryn Mann は、n を2以上とし、r を n+1 でないとしたとき、n 次元多様体 M の Cr 級微分同相写像で台がコンパクトなもののなす群 G は1次元多様体に C2 級に作用することはできないことを示した。本研究では、証明の簡明化を目指し、わかりやすい証明を得た。さらに、実は C1 級にも作用できないことを示した。この部分の証明には、Bonatti, Monteverde, Navas, Rivas による Baumslag-Slitar 群 BS(1,2) の実直線上への C1 級作用についての結果が用いられる。
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