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本研究では，数理物理および情報学において累積されてきた古典直交多項式およびその一般化に対して，離散可積分系の立場からその多様な性質を明らかにし，関連する諸分野を横断的に研究する方法論の確立を目指してきた。最終年度である本年度は、本研究課題を通して明らかになってきたオートマトン系への応用も含め、Bannai-Ito多項式の理論と応用、双直交多項式の数値計算への応用などの具体例に基づき、これまでの理論と応用研究をまとめ上げる成果発表に努めてきた。
特に、新たに古典直交多項式として認識されるに至ったBannai-Ito多項式については、鏡像変換を含むDunkl型作用素の固有関数となるなど他の古典直交多項式にはみられない性質を有している。この事実に基づき、付随するBannai-Ito代数を明らかにし、対応するRacah問題、鏡映演算子を用いた超可積分系などへの応用も考えるなど、古典直交多項式に対する理論体系の再構築を概覧してきた。
また、固有値計算アルゴリズムへの離散可積分系理論の応用として、あるクラスの３重対角行列の組に付随する一般化固有値計算をこれまでの研究の中で明らかにしてきたが、実用に近づけるための工夫や、従来アルゴリズムに対する優位性を明らかにするなど、より詳細な検討を加えてきた。
また、dqdアルゴリズムの超離散化から得られるTakahashi-Satsumaの箱玉系についても、オートマタ半群の立場から、これまでの平行移動の力学系ではなく、本質的に非線形力学系となる場合についても、オートマタ群の点灯夫群との類似性を数値的に明らかにした。
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