研究課題/領域番号 |
25400118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅彦 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (30348461)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 楕円超幾何関数 / 既約指標 / シルベスター行列式 |
研究概要 |
BCn型楕円超幾何関数はそのパラメータの個数に応じて異なるホロノミック差分方程式系を満たす。その差分方程式系の階数はパラメータの個数を使った組合せの数で表示できると予想される。そのことを古典的な超幾何関数論におけるツイスト・ドラームコホモロジー的な方法で証明するのが本研究の目標の一つである。またそれに伴って、差分方程式を1階連立差分方程式系で表したときの係数行列はほとんど何もわかっていないため、パラメータの個数が少ない場合から順番に係数行列を決定することも25年度の目標であった。したがってパラメータの個数が少ない場合に、係数行列の成分を具体的に書き下すことを試みた。係数行列は解空間の基底の取り方に依存しており、基底の取り方に応じて成分も変化する。代表者の以前の研究によって、q-類似の場合 (楕円類似の特殊な場合) において望ましい基底の取り方は、「補間関数」という対称関数の族に関係することがわかっていたため、この考え方が楕円類似の場合に共通するものかどうかを、連携研究者・野海正俊(神戸大)とともにセミナーを行って検証した。野海が提唱するBCn型の核関数の観点から「補間関数」が捉えられることがわかる。野海による核関数を使った「補間関数」を定義する方法は構成的あり、楕円超幾何関数の場合においても大変有効であることが理解できた。現在、理解した内容を報告書としてまとめている。 また、BCn型の「補間関数」はCn型既約指標の一次結合からなる多項式に対応することがわかっているが、この状況は楕円超幾何関数の場合においても類似している。つまりモジュライpやqを特殊化した場合、Cn型既約指標の関係式が得られる。この具体的表示をシルベスター行列の行列式の関係式としてとらえ、その成果を代表者・伊藤と連携研究者・岡田聡一(名古屋大)および石川雅雄(琉球大)の共著として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標のうち以下の2つが達成できていることから、研究はおおむね順調に進展している。(1)楕円超幾何関数 に付随する「補間関数」の研究が核関数の観点から進んでいること。(2)シルベスター行列の行列式の関係式を発展させてCn 型既約指標の関係式が得られたこと。
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今後の研究の推進方策 |
「補間関数」の研究をさらに進めて、ツイスト・ドラームコホモロジー的に楕円超幾何関数を理解する。また、パラメータの個数が一定の場合に楕円超幾何関数が満たす差分方程式系の係数行列の成分を具体的に書き下すことを引き続き試みる。古典型以外のワイル群に対しては、q-超幾何関数の場合から類推することにより、楕円超幾何関数が満たす和公式や変換公式を追求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
出張が3月下旬までであったため、その旅費の精算手続きが該当年度内に間に合わなかった。 生じた差額は該当年度の未精算の出張旅費に使用し、翌年度分として請求した助成金は当初の計画通りに使用する。
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