研究課題/領域番号 |
25400125
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
相原 義弘 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60175718)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 正則曲線 / 除外指数 / 除外因子 / 有理型写像 / 一意性問題 / Borel型恒等式 / Schwarz の補題 / Landau-Schottky型定理 |
研究実績の概要 |
1. 正則曲線の除外因子の集合の構造について研究した。複素代数多様体 M 内の整正曲線 f の除外因子の集合の構造が旗多様体の可算個の和集合の構造を持つことを示した。この集合をパラメタライズするグラスマン多様体に対してfから新しい整正則曲線を構成することについて研究を行った。この正則曲線に対する除外関係式の原型というべき定理を f の除外関係式より導いた。また M が複素射影空間の場合を考察し、Eremenkoにより導入された線型部分多様体の族に関する接近関数と一次系の底点に対する接近関数との関係について研究を行った。これは除外値を持つ正則曲線の構成について線型常微分方程式の基本解を用いる方法に関連し、指数曲線を用いる方法を拡張する試みであり、研究継続中である。 2.正則曲線の一意性・有限性問題について計量接続を用いてBorel型恒等式の拡張とその応用について研究した。形式的に従来知られているBorel型恒等式と類似の結果が得られるが、計量接続に関して全測地的な超曲面を構成することが困難であり現在研究継続中である。 3.複素代数多様体への非退化正則曲線の存在域の研究を行った。本研究はSchwarzの補題、Landau-Schottky型定理の高次元化に関するものである。同次非退化な正則写像に対してはこの問題はGriffiths等による研究があるが証明・評価ともに不完全である。この結果の厳密化及び精密化については研究がなされている。本研究では同次非退化な場合の先行研究の結果を踏まえて複素射影空間内の線型非退化な正則曲線が存在するような開円板の半径を評価を行うことについて研究を行い、研究継続中である。
上記の研究遂行に当たり研究会・セミナー等に積極的に参加し、本研究費は有効かつ適切に用いられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の研究について項目ごとに述べる。 1. 正則曲線fの除外因子の集合の構造について旗多様体の可算個の和集合の構造を持つことを示し、この集合をパラメタライズするグラスマン多様体に対してf から新しい整正則曲線を構成した。この正則曲線に対する除外関係式の原型というべき定理を f の除外関係式より導くことができた。これはAhlfors-Weylの理論を拡張する上で重要な結果ということができる。また除外値を持つ正則曲線の構成について線型常微分方程式の基本解を用いる方法の試みはこのような曲線の構成法として有力な方法であることが期待される。 2.正則曲線の一意性・有限性問題についてはBorel型恒等式を用いる方法が最も有力な手段である。従来の複素射影空間内の超平面の場合に研究が限定されていたが、形式的には従来の結果を拡張することができた。その応用について研究することにより新しい一意性・有限性定理が得られることが期待できる。 3.Landau-Schottky型定理の高次元化は同次非退化な正則写像に対してのみ研究されていた。Landau-Schottky型定理を異なる非退化条件の下で研究することは意義のあることと認められる。現在研究すべき課題が多く存在するが一定の成果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は以下の研究を行う。 1. 正則曲線の除外因子の集合の構造について。複素代数多様体 M 内の整正曲線 f の除外因子の集合は旗多様体の可算個の和集合の構造を持つが、この集合をパラメタライズするグラスマン多様体に対して f から新しい整正則曲線(導来曲線)を構成しAhlfors-Weylの理論の拡張を行う。特に導来曲線に対する除外関係式を厳密に定式化し除外関係式を導くことを研究する。 M が複素射影空間の場合を考察し、Eremenkoにより導入された線型部分多様体の族に関する接近関数と一時系の底点に対する接近関数との関係について研究を継続する。除外値を持つ正則曲線の構成について線型常微分方程式の基本解を用いる方法にについて研究し、指数曲線を用いる方法を拡張する。 2.正則曲線の一意性・有限性問題について計量接続を用いてBorel型恒等式の拡張とその応用についての研究を継続する。特にBorel型恒等式の有限性問題への応用及び非退化条件との関係について研究する。更に計量接続に関して全測地的な超曲面を構成することの研究を行う。 3.複素代数多様体への非退化正則曲線の存在域に関するLandau-Schottky型定理の研究を継続する。特に複素射影空間内の線型非退化な正則曲線が存在するような開円板の半径の精密な評価を与えること、および他の非退化条件との関連について研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書費等に関して消費税の変動があったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は少額であり、消耗品の購入に使用する。
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