研究課題
基盤研究(C)
正規性と自己相似性をもつ確率過程であるフラクショナル・ブラウン運動の分布は、期待値と分散により決定される。このことから、n次元フラクショナル・ブラウン運動の滞在時間に関する問題へのアプローチとして、その共分散行列の漸近挙動について研究を進めた。本研究で扱ったのは、フラクショナル・ブラウン運動の自己相似性の指数 H が 1/2<H<1 の場合であり、このときに共分散行列の行列式が評価できることを示した。
確率論
フラクショナル・ブラウン運動の自己相似性の指数 H は 0<H<1 の範囲で定義されているが、これまでの滞在時間に関する研究においては、指数を 0<H≦1/2 に限定したものが多かった。これは、1/2<H<1の場合に、フラクショナル・ブラウン運動の共分散行列の行列式を下から評価することが難しいことによる。そこで本研究では、1/2<H<1 の場合に、共分散行列の行列式がある意味において下から評価できることを示した。