平成27年度では,共役調和関数の性質について研究を行った。放物型方程式の解空間では,共役調和関数の概念についてどのように定義されるべきかが問題である。 調和関数からなるハーディー空間で重要な研究対象となったのは,共役調和関数の性質である。共役調和関数と極大関数の性質は深く結びついており,幾つかの有名な研究がある。ここでは,放物型ベルグマン空間において研究した放物型共役関数をモデルにして,放物型ハーディー空間においても同様の概念を持つ関数を定義し,それらについて研究した。これらの結果は,すでに研究論文として投稿したものや,執筆中のものがある。特に,p=1 のときの放物型ハーディー空間の解析は難しいであろうことが予想される。この解析は,調和関数からなるハーディー空間においても大変難しい部分があり,p=1 のときの双対空間の研究結果として BMO が考え出された。我々は,BMO と深い関係にある放物型ブロッホ空間における放物型共役調和関数についも研究を行い,その一意性やノルム評価などの結果を非常に美しい形で示した。
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