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2013 年度 実施状況報告書

ランダム環境下の確率成長とその相転移

研究課題

研究課題/領域番号 25400136
研究種目

基盤研究(C)

研究機関名古屋大学

研究代表者

吉田 伸生  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (40240303)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードdirected polymer / random environment
研究概要

本研究は, 時間と場所に依存する偶然性を伴う環境下で空間に分布した量(例えば, 人口の分布)の確率的時間変動を対象とし,その長時間後の分布状況を理論的に予測することを目標とする. 環境が時間と場所に依存する偶然性を持つという設定により, 一定環境下で論じられてきた 従来の確率論的人口モデルに比べ, より現実問題に即した理論が構築できる.また、本研究の対象は数学構造面からも広汎な普遍性を有し,様々な物理現象の他, ランダムな外力項を持った非線型偏微分方程式にも密接に関係する.本研究の特徴のひとつは, 環境は時間と場所に依存する偶然性を伴うことを仮定する点である. 従来の確率論的人口モデルの多くは環境が時間的に, あるいは空間的に一定な場合に限られてきた.しかし、現実問題, 例えば, 人類の歴史を繙いても, その環境は, 疫病の流行, 戦争などの時間と場所に依存する偶然性を伴ってきた。その意味で, 時間と場所に依存した環境の考察により, より実用性の高い理論を提供できると期待される。一方, 本研究が対象とする現象の背後にある数理は, 意外なまでの普遍性を有している。例えば不純媒質内での高分子の形状, 非結晶半導体(シリコン, ゲルマニウム...)中での電気伝導, 星雲の形成過程といった, 人口変動とは一見無関係な現象が共通の数理で記述される.
本年度はポアソン点過程をランダム媒質とするブラウン高分子模型を研究した.相互作用を表すパラメーターβと,ポアソン点過程の密度νの相空間において局在相,非局在相を分離する臨界曲線の存在を示し,その局所・大局的性質を調べた.また,パラメーターνを大きくする極限において,高分子の形状が媒質によって完全に規定される現象(完全局在)を定式化し,厳密な証明を与えた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究時間を確保する努力を行い,また共同研究者との連携も適切にとれている.

今後の研究の推進方策

これまでの研究により,大まかな研究方針とその手法が確立したものの、今後なすべき更に具体的課題はなお多く, 期間内に以下の研究を計画している:1)Lyapunov指数のパラメーター依存性を精密に評価する. 2) 中心極限定理は、現状では確率収束の意味でしか示せていない.これを,物理的に自然な概収束に精密化する.3)局在に関し,レプリカ重複の評価を精密化することにより完全局在の有無を確かめる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Localization Transition for Polymers in Poissonian Medium.2013

    • 著者名/発表者名
      Comets, Francis; Yoshida, Nobuo
    • 雑誌名

      Commun. Math. Phys.

      巻: Vol 323, Issue 1 ページ: 417--447

    • 査読あり
  • [学会発表] Survival in desastrous environment2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, Nobuo
    • 学会等名
      クレスト報告会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20131127-20131127
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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