研究課題/領域番号 |
25400140
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
蚊戸 宣幸 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (40177423)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 個体数変動 / 発展方程式 |
研究実績の概要 |
ある空間領域に生息している生物の個体群動態を研究することは,空間に非一様な広がりをもつ場合に意味がある。また,年齢以上にサイズがその個体数変化に影響を及ぼす場合,サイズに特化したモデル方程式を扱う必要がある。 このような例としては,植物,魚,微生物などの生物があげられる。本研究の目的の一つは,空間拡散を伴うサイズ構造化個体群動態モデルを考察するための枠組みとして,バナッハ空間上の抽象的偏微分方程式の理論を発展させることである。今回の研究では,最適収穫問題などへの応用も見据えた抽象理論の構築を目指した。特に成長率に相当する関数ついては,4つのパターンに分けて,抽象的偏微分方程式を考えた。特に順序バナッハ空間において,生成作用素が解析的半群の生成作用素なら特性曲線に沿って微分可能な解の一意存在と正値性を得た。そして元の抽象的偏微分方程式の双対問題を研究した。これについては空間がバナッハラティスで,解析的半群の生成作用素を持つ場合に双対問題の一意解が存在することを示した。さらにこのことより弱解を定義し,上記の設定の下で弱解の一意性を示した。 得られた結果は,2015年7月にフランスのリヨンで開かれた国際会議 Equadiff 2015 において発表するとともに国際雑誌J. Math. Anal. Appl.に論文として掲載された。 これまでの研究は,空間拡散を伴うサイズ構造化個体群動態モデルを抽象化したバナッハ空間上の偏微分方程式が中心であったが,今回の研究では,その双対問題及び弱解の一意性の結果が得られたことは,最適収穫問題を考える上で非常に重要な意味がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順序バナッハ空間上の抽象的偏微分方程式の双対問題の解の存在と一意性,弱解の一意性についての結果を得たことは,抽象理論の発展と共に今後の応用へとつながるので,おおむね順調であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もサイズ構造化個体群動態モデルへの応用を意図した抽象偏微分方程式の理論の発展を進める。特に非線形問題,システムの問題及び最適収穫問題などを考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
外国人研究者との研究打合わせのため外国出張する予定であったが都合が悪くできなかったため
|
次年度使用額の使用計画 |
外国人研究者との研究打合わせのために外国出張する。
|