研究課題/領域番号 |
25400141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 智成 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00303173)
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研究分担者 |
加藤 幹雄 信州大学, 工学部, 教授 (50090551)
本田 あおい 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50271119)
仙葉 隆 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30196985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不動点 / best proximity point / generalized nonexpansive / Kadec-Klee property / weak P-property |
研究概要 |
本研究費のおかげでいくつか研究成果を得ることができた。出版された論文は2編であるが、投稿中の論文や掲載受理された論文や未だ論文の形になっていない研究成果がいくつかある。ここでは、出版された論文の概要を記述したい。 1:研究代表者は2008年に generalized nonexpansive 写像という概念を導入した。この概念は非拡大写像を一般化した概念である。本論文では、この写像に関する Krasnoselskii-Mann iteration の収束定理を得た。2008年の段階では、定義域が compact 凸集合である場合の強収束定理と定義域が Opial 条件を満たす弱 compact 凸集合である場合の弱収束定理が得られていた。しかし、一様凸 Banach 空間の設定の元では、不動点の存在定理は得られていたが、収束定理は得られていなかった。本論文では、空間が一様凸でその dual 空間が Kadec-Klee property を持ち、定義域が有界閉凸集合の場合の弱収束定理を得た。dual 空間が Kadec-Klee property を持つという条件はノルムが Frechet 微分可能という条件よりも弱い条件である。この収束定理は、非拡大写像に関する Reich の収束定理の拡張定理に相当するが、完全な拡張定理ではない。というのも、係数条件に関しては強い仮定を科しているからである。 2:Zhang, Su そして Cheng によって2013年に発表された weak P-property の元での best proximity point の存在定理を改良した。定理の無駄な部分を省いただけでなく、彼らの定理の本質部分がよく理解できるような証明を与えた。また、この証明には、nonself 写像の不動点定理が使われており、今後の不動点理論の新しい発展が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発表論文が3編あり、国際会議での招待講演が2回あるため。また、投稿中の論文もいくつかあるため。
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今後の研究の推進方策 |
最近、新しいタイプの非線形写像に関する研究が積極的になされている。本研究課題においても、当該年度において、別の種類の新しい非線形写像に関する研究成果を発表することができた。今後は、さらに発展継続させたいと考えている。さらに、位相を持たない空間上で定義された写像に関する不動点理論の研究も始めている。この種の研究はほとんどなされていない為、少しでもインパクトのある研究成果に育ていけるよう努めたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
数値実験用のパソコンを購入する予定をしていたが、数値実験の結果を必要とする前に、証明が完成する等、研究がある程度順調に進んだため、研究費の節約ができた。 共同研究のための出張旅費、および講演のための出張旅費などに積極的に活用する。 また、論文を投稿したときの掲載料にも使用する予定である。 関連図書の購入、数値実験用のパソコンの購入等、必要に応じて、研究に必要な物品を購入する予定である。
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