(1)平成27年度の研究実績の概要は以下の通りである。複素n次元ユークリッド単位球上で、spaciousレブナー鎖を導入し、高次元でレブナー変分が可能であることを示した。この変分方法は、今までにないまったく新しいものである。その応用として、パラメーター表現を持つ単葉正則写像の族の端点や支持点に関する定理を導き出し、また、支持点の具体例を見つけた。更に、これらの結果をA正規化レブナー鎖まで拡張することができた。高次元の場合、A正規化レブナー鎖を考察することにより、非常に多くの正則写像について研究ができる。 (2)平成26年度の研究実績の概要は以下の通りである。螺旋型領域がルンゲであることを示した。また、螺旋型領域上で双正則写像がCnの自己同型で局所一様近似できることを示した。その応用として、完備双曲的螺旋型領域上でレブナー微分方程式の解の存在と一意性を示した。これらの結果は、星型領域に対して得られていた結果をより一般的な螺旋型領域に拡張したものである。 次に、調和関数に対するシュワルツの補題をバナッハ空間の単位球上の多重調和写像に拡張した。調和関数に対するシュワルツピックの補題をバナッハ空間の等質単位球上の多重調和写像に拡張した。等質単位球上でLandauの定理やBlochの定理を証明した。これらの結果は、ユークリッド単位球や多重円盤で個別に得られていた結果を等質単位球まで統一的に拡張したものである。 (3)平成25年度の研究実績の概要は以下の通りである。等質単位球上で、正則写像の線形不変族及び多重調和写像のアフィン線形不変族に対する歪曲定理・増大度定理・2点歪曲定理を与えた。これらの結果は、ユークリッド単位球で得られていた結果を等質単位球まで統一的に拡張したものである。
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