研究課題/領域番号 |
25400152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
菅野 聡子 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50316931)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シュレーディンガー作用素 / リバースヘルダークラス / ハーディ・リトルウッドの極大作用素 |
研究概要 |
シュレーディンガー型作用素と分数積分作用素の評価に関する研究について,平成25年度は主にシュレーディンガー型作用素の評価に関する研究を行った. n次元ユークリッド空間上で高階のシュレーディンガー型の作用素を考える.ここでポテンシャルは非負の多項式を含むようなクラス(リバースヘルダークラス)に属するものとする. この作用素に関して,以下の結果を得た. 1. 階数が2のべき乗の場合に,高階のカシオポリタイプの不等式を示し,それをもとにシュレーディンガー型作用素の基本解の高階導関数を評価する不等式を得た.この不等式を利用し,シュレーディンガー型作用素の基本解の評価を証明し,それを用いてその作用素と類似の作用素のLp有界性を証明した. 2. ポテンシャルをリバースヘルダークラスのうち最も狭いクラスに属すると仮定し,シュレディンガー型作用素のハーディ・リトルウッドの極大作用素での各点評価を示した.この結果,これらの作用素がモリー空間でも有界となることが分かった. 上記のシュレーディンガー型作用素は,高階の場合はポテンシャルが多項式の場合しか研究されておらず,ポテンシャルがリバースヘルダークラスに属する場合の基本解の評価およびLp有界性については2階の場合が研究されていただけであった.これらの結果は階数が2のべき乗の場合に限られるものの,ポテンシャルがリバースヘルダークラスに属する場合に拡張できた点で,意義深いと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シュレーディンガー型作用素について,ポテンシャルがリバースヘルダークラスに属し,高階の場合に,基本解の評価およびLp空間,モリー空間での有界性を証明することができたことは,ある程度の成果であると考えている.階数は2のべき乗の場合に限られるものの,それを示すのに重要な役割を果たす高階のカシオポリタイプの不等式は階数がすべての自然数で示せており,今後の研究につながるものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
シュレーディンガー型作用素について,ポテンシャルがリバースヘルダークラスに属し,高階の場合に,どのような条件の下で特異性が成り立つかどうかについて調べる予定である.また,分数積分作用素について,モリー空間における結果を発展させ,分数積分作用素がBMO空間に属する関数との交換子の場合について,どのような不等式が成り立つかを明らかにしたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初,研究発表のための旅費に使用する予定であったが,その後の研究の進展により,さらに良い結果が示せる可能性が出てきたため,一旦保留し,翌年度に研究成果をまとめて発表することとしたため. 研究に必要な文献の購入の他,研究発表および情報交換のための旅費に使用したいと考えている.
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