研究概要 |
1986年に提起された調和写像の拡張である2-調和写像理論に対し、ターゲットが非正曲率の自乗可積分な調和写像でない2-調和写像の非存在、ターゲットがコンパクト・リー群や対称空間の場合の2-調和写像の特徴付けと分類・構成を行った。前者については完備リーマン多様体から非正曲率リーマン多様体への任意の2-調和写像について、テンション場の各点ノルムの自乗可積分が有限ならば、調和写像でなければならないという、定理を示した。後者については、任意のリーマン多様体からコンパクト・リー群やコンパクト・対称空間への2-調和写像について、リー代数による特徴付け定理を示し、その応用として2-調和写像の構成・分類定理を示した。特に、対称空間として、球面や複素射影空間の場合に、それらの空間への2-調和写像であって調和写像でない例を系統的に構成した。 次に、前田瞬、中内伸光らとの共同研究により、2-調和写像を一般化して、k-調和写像の概念を定式化し、k-調和写像のオイラー・ラグランジュ方程式を決定し、k-調和写像がどのような時に調和写像となるか、調和写像でない k-調和写像の構成について考察した。その結果、完備多様体からユークリッド空間への k-調和写像が 、各j=1,2,・・・, k について 「j-エネルギー」が有限であるならば、やはり調和写像となる、という定理を示した。さらにターゲット空間が負の定曲率空間の場合にも同様の結果を得た。
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