研究課題/領域番号 |
25400169
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
滝本 和広 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00363044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 完全非線形偏微分方程式 / 境界値問題 / 粘性解 / 解の存在と一意性 / 解析学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,非線形性が非常に強く,解析するための道具が少ないために取り扱いが困難である完全非線形楕円型・放物型偏微分方程式に対し,その境界値問題の可解性や解の挙動についての考察,および特異性の解析を行うことである。平成 27 年度に行った研究は下記の通りである。 (1) 前年度は,Bernstein が極小曲面に関して証明した「2 次元ユークリッド平面全体で定義された関数 z=f(x,y) が極小曲面方程式を満たすならば,f は x と y に関する 1 次式である」という定理の類似物を,放物型 k-Hessian 方程式と呼ばれる完全非線形偏微分方程式に対して得た。しかし,この結果は -u_t F_k(D^2 u)=1 という特定の偏微分方程式に対するもので限定的であった。本年度はこの研究を発展させ,より一般の放物型 k-Hessian 方程式に対しても Bernstein 型定理が成立するという結果を得た。この結果は,熱方程式,放物型 Monge-Ampere 方程式を含む,これまで研究がなされてきた多くの放物型 k-Hessian 方程式に対して適用可能である。本結果をまとめた論文は Springer Proceedings in Mathematics & Statistics に掲載されることが決定している。 (2) 「ある条件を満たす一般の完全非線形楕円型・放物型偏微分方程式の粘性解において,1 つの等高面は常に除去可能である」という結果の拡張については引き続き研究中であり,学術誌への論文投稿準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 27 年度は得られた研究成果をまとめた論文が学術誌に掲載されており,順調に研究は進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,研究を遂行するため,完全非線形偏微分方程式などに関する先行研究の文献を調査し,国内外の非線形偏微分方程式論の研究者との研究討議を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた共同研究者との研究討議がキャンセルになってしまったものがあり,少々の余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費および物品購入に関して適切に使用する。特に,平成 28 年度は米国での国際研究集会に参加して国外の研究者との研究討議を行う。
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