研究課題
本研究の目的は,非線形性が非常に強く,解析するための道具が少ないために取り扱いが困難である完全非線形楕円型・放物型偏微分方程式に対し,その境界値問題の可解性や解の挙動についての考察,および特異性の解析を行うことである。平成 28 年度に行った研究は下記の通りである。(1) 20 世紀初頭に Bernstein が極小曲面に関して証明した「2 次元ユークリッド平面全体で定義された関数 z=f(x,y) が極小曲面方程式を満たすならば,f は x と y に関する 1 次式である」という定理の類似物が,熱方程式や放物型 Monge-Ampere 方程式を含むような一般の放物型 k-Hessian 方程式に対して成立するという結果を,Springer Proceedings in Mathematics & Statistics 誌に掲載した。本年度は,この研究を発展させ,別のタイプの完全非線形偏微分方程式に対しても Bernstein 型の定理が成立するかどうかについて考察した。本研究は次年度以降も継続して行う。(2) 複素解析学において「複素平面内の領域上で定義された連続な複素数値関数が,ある等高面を除いて正則であるならば領域全体で正則である」という定理は Rado の定理として知られている。完全非線形偏微分方程式においてもこの種の定理が成り立つことは以前の研究により既に示されているが,その定理の拡張を研究しており,論文投稿の準備中である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Geometric Properties for Parabolic and Elliptic PDE's, Springer Proceedings in Mathematics & Statistics
巻: 176 ページ: 173-190
10.1007/978-3-319-41538-3_11