領域内部において線形拡散、領域境界で非線形・非対角的なフラックスを通した相互作用をおこなう多変数拡散方程式系において、定常状態の安定化・不安定化に関する研究を行い,以下の様な結果を得た。 境界における相互作用記述する非線形項を定常状態において線形化して得られる行列の不安定部分系に対応する拡散係数がその相補的部分系の拡散係数よりも十分小さい場合、Turing型の不安定化が起こることを示した。これは従来の Turing 不安定化と類似の結果であす。また、全ての成分の拡散係数が等しい場合にも、Turing 型不安定化が起こるメカニズムを明らかにした。この場合、不安定化臨界が、通常のように複素平面における虚軸ではなく、虚軸から実軸へのある写像のグラフとして表現される曲線であることを示した。 この曲線は、実軸に関して対象であり、虚軸とは原点だけを共有し、それ以外では実部正の右反平面に含まれている。この臨界曲線は領域によって一意的に決定されることを示した。具体的な領域について臨界曲線を明示的に求めた。この曲線は解析的である場合と区分的に解析的な場合があることを示した。
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