研究課題/領域番号 |
25400172
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉川 周二 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80435461)
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研究分担者 |
黄木 景二 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (70281194)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非線形偏微分方程式 / 熱弾性 / Woinowsky-Krieger方程式 / 構造保存型数値解法 / Kelvin-Voigtモデル / 形状記憶合金 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、伸張性のある梁の方程式の初期値問題と構造保存型数値解法について研究し、以下の4つの結果を得た。 1-1. Woinowsky-Kriegerが提案した伸張性のある梁の方程式は、非局所分散型の四階半線形偏微分方程式である。Ballはこの方程式に摩擦と構造減衰(Kelvin-Voigt)項を加えた方程式(Ballのモデル)の初期値境界値問題について解析しているが、本研究ではこのBallモデルの全空間における初期値問題について考察した。まずは、Ono(1999)による修正されたNakaoの補題によって減衰評価を得たのち、二つの減衰項の両方の長所を生かした線形評価を組み合わせることで、より速い減衰評価を得た。 1-2. 次に、この方程式の加速度項の解に及ぼす影響を調べるために、加速度項の係数をゼロに取った極限方程式の減衰評価を求め、この極限方程式への特異極限の評価を与えた。1-1および本研究はReinhard Racke氏(Konstanz大)との共同研究である。 2-1. 偏微分方程式論において標準的であるエネルギー法を、離散変分導関数法に移植することで、解の存在証明を改善した。Cahn-Hilliard方程式とBoussinesq型方程式を例にとると、既存の結果では時間の刻み幅が空間の刻み幅に比べて十分小さいことを条件としていたが、この方法を用いると空間の刻み幅によらず時間の刻み幅のみ小さく取ればよい。 2-2. 形状記憶合金のFalkモデルのエネルギー保存とエントロピー増大の構造を保存する差分スキームに対して、以前の結果では解の存在のみ言及していたが、厳密解と近似解の間の誤差評価を示した。また2-1のエネルギー法を形状記憶合金のFalkモデルに適用することで、やはり時間の刻み幅のみ小さくとれば近似解の存在を証明することができることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツでの長期滞在を通じて、興味深いトピックスや新しい知見を得ることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にも述べたとおり、研究の進捗状況に応じて柔軟に方針を見直しながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
4月から10ヶ月間在外研究員としてドイツに滞在したため、購入予定であった物品の納入を次年度に見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
滞在中に得られた結果の発表にかかる旅費や論文の別刷りの購入費が、予定より多くかかると予想されるので、この次年度使用額をこれらの費用にあてる。
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