研究課題
平成27年度は、以下の結果を得た。1. 確率Cahn-Hilliard方程式の後退オイラースキームの可解性について考察した。加法的ノイズがある場合、エネルギーノルムを一様に初期値で制御できないため、既存のエネルギー法のように時間の刻み幅が直前のエネルギーサイズに依存する方法は適用できない。そこでSchaeferの不動点定理を用いることで可解性を示した。また期待値に着目すると伊藤の公式により一次増大するエネルギー関係式が導かれる。そこでまず加法的ノイズを付与した線形発展方程式に対して、この構造を保存する数値計算スキームを提案しその誤差評価を与えた。以上の結果はFredrik Lindgren氏(大阪大)と降籏大介氏(大阪大)との共同研究である。2. Kirchhoff方程式において非局所非線形項の非局所部分を既知の時間依存する係数に置き換えた問題については多くの結果が知られている。同じ動機で、伸張性のある梁方程式の非局所非線形項を既知の時間依存する係数に置き換えた変数係数線形梁方程式を考察し、解の漸近系をGallay-Raugelの方法を用いて求めた。この漸近形から、係数の増大指数によって漸近形が分類されることがわかった。本研究は若杉勇太氏(名古屋大)との共同研究である。3. 力学的境界条件のCahn-Hilliard方程式と第二音付き準線形熱弾性方程式の構造保存型数値解法を提案し、その誤差評価等の数学解析の結果を与えた。本研究は、前者が深尾武史氏(京都教育大)ら、後者が川島秀一氏(九州大)との共同研究である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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