研究課題/領域番号 |
25400180
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
倉田 和浩 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10186489)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 固有値漸近挙動 / パターン形成 / 変分問題 |
研究概要 |
1.連携研究者の神保とともに、細い領域上でのラプラシアンの混合型境界条件下での固有値問題の固有値の漸近挙動に関する研究を引き続き行い、ノイマン窓がある場合など関連研究の検討を行った。 2.パターン形成の数理をテーマとした研究を引き続き行った。5種のギーラー・マインハルト系の飽和効果を持つモデルに対して、シャドウ系を含め、解のアプリオリ評価および飽和効果が大きい場合の非定数定常解の非存在パラメータ領域の研究、アリ効果をもつ2種のMimura-Murrayの数理モデルの食物連鎖型の3種拡張数理モデルに対して、その定常解の非存在及び存在パラメータ領域の研究を継続して行った。さらに、本学大学院生とともに、化学反応に現れるLengyel-Epstein数理モデルにおいて、協同現象効果を持つ一般のHill係数のTuringパターン形成に果たす役割を調べ、解のアプリオリ評価、非定数定常解の非存在定理、非定数定常解の存在定理などの研究を行った。 3.量子現象の1つでもあるボーズ・アインシュタイン凝縮に関連した変分問題を研究し、本学大学院生とともに、簡単な数理モデルではあるが空間の場所によって散乱長が変化するような場合についての最低エネルギーの粒子数無限大での詳細な漸近挙動に関する評価を得ることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.いくつかのパターン形成問題に関わる非線形反応・拡散系の定常パターンの研究に関して、着実に一定の結果を得ており、知見を広めることができている。より詳しい定常パターンの形状の解明が今後の課題である。 2.空間1次元ではあるが、ボーズ・アインシュタイン凝縮に関わる変分問題のエネルギー最小解の漸近解析において新たな進展を得ることができたことは大きい。今後、空間多次元への進展が大いに期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
1.非線形変分問題の解の構造に関する研究を引き続き推進する。特に、空間多次元のボーズ・アインシュタイン凝縮に関連した変分問題の最小エネルギー解の漸近解析および関連する話題の研究を行う。関連した多成分のボーズ・アインシュタイン凝縮の数理モデルのエネルギー漸近展開の研究や、関連する棲み分け分布に関する最適化問題についての研究も行う。 2.パターン形成の数理モデルの数学解析を引き続き推進する。特に、食う-食われるの関係をもつ数理生物モデルにおいて、交差拡散効果によって興味深い非定数定常解の出現が起こるものに対して、その定常パターンの形状を研究する。
|