変分問題、最適化問題および非線形偏微分方程式に関するいくつかの研究を推進した。 (1)連携研究者の神保秀一氏(北大)との共同研究で、細い領域上でのDirichlet-Neumann混合境界条件下でのラプラシアンの固有値の精密な漸近展開とその非線形問題への応用に関する研究成果としての論文がIndiana Univ. Math. J.に掲載が決定した。今後も、Neumann窓をもつquantum wave guideなどの研究との関連、非線形固有値問題の研究への展開などを研究中である。 (2)本学大学院生の梶原尭氏との共同研究で、3種のFitzHugh-Nagumo型の反応拡散方程式およびそのシャドウ系に現れる変分問題のエネルギー最小解の安定性や精密なエネルギー評価に関する研究を推進し、その成果を論文にまとめ、現在投稿中である。 (3)本学大学院生とともに、空間2次元での2成分の斥力相互作用をもつボーズ・アインシュタイン凝縮モデルに現れる変分問題を研究し、散乱長パラメータが臨界値に近づくときの、エネルギー最小状態の凝縮現象の解析を推進した。特に、斥力相互作用による2成分の棲み分け現象を表す厳密な解析結果を得ることに成功した。 (4)磁場の効果が入ったGaliardo-Nirenberg不等式に関する変分問題において、最小解の存在・非存在と磁場の効果との関係を調べ、ボーズ・アインシュタイン凝縮モデルに現れる変分問題への応用についての研究を行った。 (5)研究協力者である坂口茂氏(東北大)との共同研究で、Heat contentと言われる熱量に関する最適化問題の研究を継続して行った。
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