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2013 年度 実施状況報告書

消散型波動方程式の解の拡散現象と波動現象

研究課題

研究課題/領域番号 25400184
研究種目

基盤研究(C)

研究機関早稲田大学

研究代表者

西原 健二  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60141876)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード消散型波動方程式 / コーシー問題 / 拡散現象 / 波動現象 / 臨界指数
研究概要

消散型波動方程式のコーシー問題の解は,時間発展とともに,対応する拡散方程式の解に漸近をする,すなわち,解の拡散現象を持つ.この現象について,解表示を用いた空間1,3次元における結果を2003年に,2編の論文として発表した.その後の発展をサーベイした論説「消散型波動方程式の解の拡散現象」(数学62巻第2号(2010), pp. 164-181) の英訳が,"Sugaku Exposition"から発行された.さらに,最近の発展も含めた論文も発行され(研究発表欄の2編の論文参照),平成25年度の実施計画のひとつである最近までの結果についてのまとめは予定通りなされたものと思われる.しかしながら,波動現象を展望しつつ,拡散現象と波動現象の臨界の場合については思わしい進展は見られなかった.それらについては,池畠-Todorova-Yordanov, 若杉,D'Abicco, Reissig 氏らによる進展がみられた.
波動現象と拡散現象を観察するうえで,波動方程式と消散型波動方程式がカップルした連立系のコーシー問題を考察するのは意味のある,しかしながら難解な問題であると思われる.この問題を展望しつつ,2つの消散型波動方程式がカップルした連立系のコーシー問題については,空間3次元までの優臨界の場合に,小さなデータに対する時間大域解の存在とその漸近形まで含めて考察した(Osaka J. Math. 49 (2012), 331-348). さらに続けて,臨界,劣臨界の場合における解の爆発現象に関する結果を不完全ながらも得て,2013年8月のクラクフ(ポーランド)における ISAAC Congress において発表した.その後,空間高次元における問題も含めて,若杉勇太氏(大阪大学)の協力も得て,さらに研究を続行している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年は,時間あるいは空間依存係数の消散項を持つ半線形消散型波動方程式のコーシー問題について,拡散現象と波動現象の臨界の場合を目指したが,思わしい成果は得られなかった.しかしながら,2つの消散型波動方程式がカップルした連立系のコーシー問題の解の挙動については,少しづつではあるが研究が進展している.したがって,研究の進展が順調であるとも言えないが,関連の連立系の問題についてそれなりの進展が見られたので,「おおむね順調」と判断した.

今後の研究の推進方策

本年度は2つの消散型波動方程式の連立系のコーシー問題の解の挙動についての結果が得られてきているが,いまのところ,2つとも同じ消散項を持つ波動方程式で,半線形項がカップルしたのみの形である.消散項の強さの違いを持つ2つの方程式がカップルした問題を当然ながら考える必要がある.最終的には,効果的な消散項と効果的でない消散項を,それぞれもつ,2つの消散型波動方程式がカップルしたコーシー問題を考察することが目標である.この最終目標を目指して,一歩ずつであるが研究を進展させたいと考えている.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Diffusion phenomena of solutions to the Cauchy problem for the damped wave2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nishihara
    • 雑誌名

      Sugaku Expositions

      巻: 26 ページ: 29-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Critical exponent for the semilinear wave equation with time or space2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nishihara
    • 雑誌名

      "Progress in Partial Differential Equations", Springer Proceeding in Mathematics Statistics

      巻: 44 ページ: 239-259

    • 査読あり
  • [学会発表] The Cauchy problem for a coupled system of the damped wave equations2013

    • 著者名/発表者名
      K. Nishihara
    • 学会等名
      9th ISAAC Congress
    • 発表場所
      Pedagogical University, Poland
    • 年月日
      20130805-20130809
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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