定数係数線形消散項をもつ波動方程式のコーシー問題の解は,急速に減衰する波動部分と拡散部分の和として表現できる.従って,時間発展と共にその解は拡散部分に漸近する.この現象を解の拡散現象と呼ぶ.時間または空間変数に依存する係数の線形消散項をもつ場合は,その係数の減衰の度合いにより,消散項が効果的あるいは非効果的となり,それぞれ,解の拡散現象あるいは波動現象が期待される.解の拡散現象については,半線形問題の臨界指数を求めることを通じ研究は進展し,若杉勇太氏との共同研究により,半線形消散型波動方程式系を考察した.また,スリランカにおける研究集会では基調講演を行い,一連の研究の総合的な報告を行った.
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