2次元全平面および外部領域における定常Navier-Stokes方程式に対し、領域、外力及び境界値にある種の対称性を仮定し、十分小さい外力及び境界値に対して遠方で減衰する定常解の存在を示した。ここで仮定した対称性はこれまでに得られていた結果の拡張で、他の研究者の考えた条件とは異なるものであり、4次巡回群の作用に対する同変性として記述される。この結果を示すために、まず仮定した対称性の下では積分核を遠方で十分速く減衰する形に変形できることを示し、この結果をを用いて全空間の場合を証明した。さらに柴田良弘氏の方法を用いて外部領域の場合を示した。 また、より弱い対称性の仮定の下で十分に小さい減少する定常解がL2空間に属する任意の初期摂動に対して大域的に漸近安定であることを昨年度の研究で示したが、今年度はさらに各種のノルムで測った収束の速度を求めた。漸近安定性の証明にはアプリオリ評価を用いたが、収束の速度を求めるためにはBanachの不動点定理を用いる藤田ー加藤の方法を用いる必要があり、このためにはラプラシアンの摂動が空間L2で解析的半群を生成し、さらにLp空間における評価をみたすことを示す必要がある。このためにStokes作用素の平方根をスペクトル分解によって定義し、その摂動を考えることによって示した。これによってLpノルムでの収束速度を求めることができた。最大値ノルムに対しては摂動方程式の解をLittlewood-Paley分解を用いて周波数ごとに分解し、LpノルムとH1ノルムの収束をそれぞれに用いることによって示した。
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