研究課題/領域番号 |
25400186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
川崎 秀二 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10282922)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Fractional Brown運動 / 共分散行列 / 正定値性評価 / Besovノルム評価 / 安定過程 / 劣Gauss過程 / covariation / codifference |
研究概要 |
平成25年度前半は、これまで自らが得ていた、Fractional Brown運動のウェーブレット係数の局在性評価について、今後のより一般的な局在性評価の基礎とするために、定式化のうまくできていない部分があった箇所について、できるだけ整理し評価を精密にしておく事を行った.その結果、ウェーブレットのパラメータである vanishing moment や過程の長期記憶性パラメータの関数として、評価を統一的に整理した形にまとめる事ができ、また同時に評価自体もより精密になった.こちらの件に関しては、2013年度応用数理学会年会にて成果発表を行った.また、現在論文を執筆中である.これにより、基本となるFractional Brown運動については、研究目的の「何をどこまで明らかにするか」の局在性の良さがもたらすインパクトの明示という事について、共分散行列をその対角成分(分散)のみからなる対角行列で正定値性の意味で不等式により上下から評価するという事が達成された. 平成25年度後半は、Gasuss過程からの departureとなる対象として、安定過程を考察した.平均 0のGauss過程が共分散行列で規定されるのに対し、安定過程を規定する特性量として2つのケースを考えた.1つは特別なクラスである 劣 Gauss過程を仮定する事、もう1つは一般の安定過程に対し、分布を規定する特性量候補である covariation, codifferenceを評価する事である. 前者については、特性関数のスペクトル測度が一様分布の場合について、本質的にはGauss過程の場合の結果を流用すれば良いと予想の上、その流用の仕方について考察をした. 後者については、2つの特性量によりどれだけ安定過程を特徴付けられるかの議論も考慮しながら、それら2つのウェーブレット係数ドメインでの評価について考察をした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に記載の「何をどこまで明らかにするか」の1つ目の項目「局在性の良さがもたらすインパクトの提示」― 共分散行列をその対角成分(分散) のみからなる対角行列による上下からの評価 (上下からのタイトな不等式による一種の同値性; 行列の不等式は正定値性の意味)という事について、Gauss過程に対してはほぼ見通しができた.従って、Gauss過程は、あとはできるだけ局在性評価の計算を精密化するだけであり、非Gauss過程のウェーブレット係数局在性定式化の議論へ移る事ができる事となった.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、過程のウェーブレット係数局在性定式化については、今後は非Gauss過程を対象とする事が中心となる.次の2つのケースを主に扱う事を想定している:1つは特別なクラスである 劣 Gauss過程を仮定する事、もう1つは一般の安定過程に対し、分布を規定する特性量候補である covariation, codifferenceを評価する事である.前者については、特性関数のスペクトル測度が一様分布の場合について、本質的にはGauss過程の場合の結果を流用すれば良いと予想の上、その流用の仕方について明らかにする.後者については、2つの特性量によりどれだけ安定過程を特徴付けられるかの議論も考慮しながら、それら2つのウェーブレット係数ドメインでの評価について、Fractional Brown運動に関する確率積分や fractional 積分の理論を応用して考察を進める.必要であれば、安定過程の専門家に専門的意見の提供を受ける事も想定する.
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