研究課題/領域番号 |
25400189
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
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研究分担者 |
赤平 昌文 筑波大学, 名誉教授 (70017424)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ベイズ推測 / 無情報事前分布 / 歪q正規分布 |
研究実績の概要 |
本研究は、非正則な場合における有効な逐次推定方式を構築することにある。本年度は、昨年度までと同様に、非正則な場合における、ダイバージェンスに基づいた無情報事前分布に関する研究、および歪q正規分布に関する研究を行った。 ベイズ推測において事前分布の選択問題は重要であり、今日に至るまで多くの議論がなされている。推測に先立って事前に情報が無い場合には、一様分布が無情報事前分布として使われてきたが、これは1対1変換に対して不変で無いことから多くの批判があった。これを、1対1変換に対して不変であるように改良したものがJeffreysの事前分布である。このJeffreysの事前分布は、正則な場合には、事前分布と事後分布の間のカルバック・ライブラーダイバージェンスを最大にするものとしても得られる。従って、事前に情報が無い場合の事前分布として正当化される(Bernardo (1979))。 Bernardo (1979)の結果を、非正則な場合にαダイバージェンスに当てはめた結果が、昨年度から得られている結果である。今年度は多次元の場合にも結果を拡張した。また、Ghosh et al.(2006)等にある正則な場合との比較を行った。 近年、歪正規分布に関する研究が極めて盛んである。これは原点対称な確率分布(特に標準正規分布)を歪ませた確率分布で、非対称な確率分布の一つとして期待されている。一方、統計物理の分野で、q正規分布という新しい確率分布に関する研究が統計物理を発端として進んできている。これはツァリスエントロピー最大化により導出される確率分布で、正規分布などの重要な確率分布を含んでいる。本年度の研究では、この歪正規分布とq正規分布を合わせた歪q正規分布を提案し、モーメント、最尤法、極値分布などの性質を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベイズ推測において、事前分布をどのように設定するかは重要な問題である。本年度は、非正則な場合におけるダイバージェンスに基づいた無情報事前分布の構築に成功した。また、多次元の拡張についてもおおむねうまく研究が進んでいる。また、多次元の拡張についてもおおむねうまく研究が進んでいる。また、歪正規分布とq正規分布という全く異なる概念より派生した歪q正規分布に関する研究についても順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
無情報事前分布に関する研究については、攪乱母数がある場合の研究を進めたい。また、歪q正規分布に関する研究については、さらにベイズ推定や最尤推定法の性質などに関しても研究を進めたい。実際には、陽に計算ができないことが予想されるので、適当な近似を用いることで対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費を使用予定であったが、先方負担により研究実施できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究資料等を購入する予定である。
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