研究実績の概要 |
本年度は5年計画の4年目である。昨年度には、h-trianglの非負性を弱めた性質(SDNNH)がpartitionableという性質から含意されることを示すとともに、この性質を遺伝的に要求することで、本研究のテーマである、部分構造への等質性を持ったshellability, sequential Cohen-Maculayness, partitionabilityといった性質を統合する方向の言明を2次元以下の単体的複体に関して示している。本年度は、この研究の高次元への一般化の可能性を探り、その議論の手始めとして、flag complexのクラスについての考察を行った。残念ながら、本年度は研究が遅れ気味であり、このflag complexについての考察はまだ完結に至ってはいないが、flag complexのクラスにおける極小反例の持つh-triangleの構造についての考察をもとに、20頂点以下のflag complexにおいては、このh-triangleの非負性を緩めた性質(SDNNH)とshellability, sequential Cohen-Macaulayness, partitionabilityに関する遺伝的性質がすべて一致することを確認した。 この他、単体的複体のpartitionabilityとその遺伝的性質についての構造をより深く検討することを目標に、本研究代表者が過去に行ったshellabilityについてのfacet-ridge incidence graph上の向き付けを用いた特徴づけとその関連研究における知見を、partitionabilityや遺伝的性質に対して用いる、もしくは、同様の手法を流用できるかどうか、などの検討を始めてみた。しかし、この方向についてはまだはっきりとした目途が立っていない状況である。
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