研究課題/領域番号 |
25400199
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
上田 肇一 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (00378960)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ネットワーク / 真正粘菌 |
研究実績の概要 |
本研究では、複数の自己組織化パターン、および空間スケールが異なる自己組織パターンの相互作用を解析する手法を開発し、真正粘菌と脳活動で観察される遷移ダイナミクスの発生機構を解明することによって、実際の生命現象で観察される機能的振る舞いの仕組みを解明する。さらに、そこで得られた知見をもとに、自己修正機能を有する自律分散システムの設計法を提案する。そのために、数理モデルの作成を行う。また、これらの現象の理解には緩和振動子の集団運動に対する分岐構造解析が不可欠であるため、従来の解析手法を発展させる。
1. 自己修復機能を実現する自律分散システムを構築するために,ネットワーク上での力学系を研究した。昨年度に構築したループ探索モデルを発展させ,ネットワーク内の2点をつなぐ経路を探索するシステムを提案した。ネットワークのノードダイナミクスとして振動現象を示す方程式を採用した。提案したシステムはネットワークの切断等の外部摂動が生じた際にも自動的に新たな経路を探索する機能を有する。このような機能を有するシステムを作成するために,ノードダイナミクスを記述する方程式が双安定系となるパラメータ領域を採用した。
2. 真正粘菌の移動運動を再現する数理モデルを作成した。これまで我々が作成した細胞先端部分の厚み変化を記述する数理モデルに管構造を再現する数理モデルをカップリングさせることにより,実験で観察される通路形状に依存した輸送管構造を再現することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己修復機能を有するネットワークモデルの作成に関して,従来はノードダイナミクスを記述する方程式として双安定系の方程式を採用してきたが,今年度の研究において振動現象を示す方程式においても作成可能であることを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
自己修復機能を有する数理モデルにおいては,これまで経路探索を中心とした問題を扱ってきた。今後は工学分野で重要とされる問題に対してネットワークモデルを応用していくことを試みる。この研究により,並列計算アルゴリズムを提案することを試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画していた研究打ち合わせがキャンセルとなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせに使用する。
|