研究実績の概要 |
本研究では、行列多項式の固有値の分布を調べ、Schur安定であるための条件を求めること、およびその結果を高階線形差分方程式系の安定性の解析に応用することを目標としている。これまで、自己反転行列多項式に関するEnestroem-Kakeya型の定理を導出し、その結果を高階差分方程式系に応用してきた。今年度は、自己反転行列多項式に関するEnestroem-Kakeya型の定理をHilbert空間における有界線形作用素を係数にもつ多項式の場合へと拡張する問題を昨年度に引き続き考察した。10月には研究協力者のWimmer博士(Universitaet Wuerzburg, Germany)が来日し、共同研究を進め、これまで得られた成果を整理・発展させることができた。得られた成果は、学術論文(N. Ito and H. K. Wimmer, Self-inversive Hilbert space operator polynomials with spectrum on the unit circle, Journal of Mathematical Analysis and Applications, Vol.436, pp.683-691, 2016)にまとめ、さらに日本数学会において研究発表した。
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