自己反転行列多項式について考察し,もし付随する行列多項式の内数域半径が1よりも大きいならば,その固有値は正規かつ半単純で,単位円周上にあることを示した.また,付随する特性行列多項式が自己反転的であるような高階線形差分方程式系について考察し,その特性行列多項式を構成する行列多項式の内数域半径が1より大きいならば,すべての解は有界であることを示した.さらに,安定有界性に対する判定基準を与えた.次に,ヒルベルト空間上の自己反転作用素多項式について考察し,もし付随する作用素多項式の内数域半径が1より大きいならば,そのスペクトルは単位円周上にあり,近似正規であることを示した.
|