本研究では、代数的組合せ論のassociation schemeを用いて、複素アダマール行列を構成しその特徴付けを主な研究としている。複素アダマール行列の非自明な構成方法は未知なので、正則生の強いassociation schemeを仮定して、その枠組みで複素アダマール行列を構成することは重要なアプローチと考えられている。複素アダマール行列と相性の良いassociatin schemeの実例は、昨年度構成した複素アダマール行列と異なる実例に対して複数個見つけているが、無限系列の構成ともなると成功した部分とそうでない部分がある。主な研究成果は次のとおりである:(1)クラス4のあるassociation schemeに付随する複素アダマール行列の存在が、実例では1次式と4次式で表されている場合に、これら2つの式をそれぞれ一般形で記述することに成功し新たな無限系列の複素アダマール行列を構成することに成功した。(2)Buton typeの複素アダマール行列がassociation schemeの枠組みで存在するなら、valencyとmultiplicityの間の関係式を見つけることができた。(1)について論文として投稿準備中である。(1)の内容について2015年6月にカナダで開催の "CanaDAM 2015 University of Saskatchewan in Saskatoon" で招待講演を行った。
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