| 研究実績の概要 |
本研究課題では, 系外惑星における生命存在可能性を規定する暴走温室状態の発生条件を明らかにすることを目的として, 雲スキームを組み込んだ大気大循環モデルを用いたパラメータ実験により様々な惑星半径や自転角速度に対して暴走温室状態が発生する太陽定数の臨界値を求める. 平成 26 年度は, 当初予定で平成 25 年度おこなう予定であった惑星半径変更実験およびた鉛直 1 次元放射対流平衡モデルを用いた考察をおこなった.
本研究課題では, 3 次元大気大循環モデルと 1 次元放射対流平衡モデルの 2 種のモデルを使用した. 大気大循環モデルとして用いたものは, 惑星大気大循環モデル DCPAM (高橋他, 2013)である. 放射過程においては, 水蒸気, CO2, 雲による短波および長波の吸収を考慮した. 入射放射分布として, 西半球のみ入射が存在する固定した分布を与える. 1 次元モデルは, DCAPM の物理過程モジュールを用いて鉛直 1 次元平衡解を求めるものである. 地表面温度を与え, 大気構造を決定する.
DCAPM を用いて, 昼半球と夜半球が固定された同期回転惑星設定における惑星半径変更依存性実験をおこなった. その結果, 惑星半径の増加に従い, 表面温度の夜半球平均値は単調減少することがわかった. 昼夜間熱輸送量は惑星半径の増加に応じて単調減少しており, 夜半球表面温度の減少と整合的なものとなっていた. また, 1 次元モデルを用いて, 表面温度を 250K から 500K まで変化させて 1 次元放射対流平衡解を求めた. この結果から, 大気上端における外向き赤外放射量 (OLR) の上限値は330 W m-2 であることがわかった. この結果は, 平成 27 年度以降に実施する太陽定数変更実験の結果を解釈する際に活用する予定である.
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