研究課題
基盤研究(C)
本研究では、赤外線天文衛星「あかり」の全天サーベイ観測データを基に、微細な空間構造まで再現したこれまでで最も詳細な太陽系内惑星間塵雲モデル・黄道光モデルを構築することを目指す。これは現在の標準テンプレートである米国の COBE/DIRBE のデータを基にした黄道光モデルを 15 年ぶりに改訂するもので、モデルの精度を上げ DIRBE では再現できていなかった微細構造まで再現することに取り組むものである。観測衛星(地球)の位置によってその輝度が変化する黄道光のモデルを構築するには、まず半年ごとに作成した全天マップ(半年マップ)が必要である。だが、「あかり」チームが準備している公開用の全天データは1年以上の全観測期間中のデータを使用しているため、半年マップに直したものを準備する必要がある。平成 25 年度は、「あかり」の時系列観測データを基に、まず全期間の全天マップの解析と半年マップの作成をおこなった。遠赤外線の2つの波長帯での全天マップを解析し、有意に小惑星帯起源の塵による構造を確認した。また、地球軌道上の塵(circumsolar ring)による放射も確認することができた。最初のステップとして簡易的なモデルを仮定し、全天マップの観測結果の表面輝度分布の構造を抽出するところまでは達成し、日本天文学会で講演をおこなった。今後は更に精度を上げ、また半年マップでの解析を進めて3次元空間分布モデルの構築へとつなげていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
「あかり」データから全天マップを作成し、黄道光微細構造を確認するところは順調に進めることが出来ている。ただし、研究開始前の予定よりも「あかり」データのチーム内公開のスケジュールがずれこんだため、本年度は研究計画の順序を調整し全天マップに対する簡易モデル適用の検証を先に進めた。解析の準備が整ったため来年度には解析専用の計算機を購入し、半年マップの本格的な解析を計画している。最初の計画からは各項目の進展具合が前後するが、全体で見れば研究はおおむね順調に進展しているといえる。
半年マップ解析の準備が整ったため、今後はこのデータを基に本格的な解析を進める。まずは、解析専用の計算機を購入し、小惑星ダストバンドと地球軌道上の塵(circumsolar ring)の構造を分離抽出し、その詳細な空間分布を明らかにすることを目指す。25年度に簡易モデルの検証を先に進めたので、そのモデルを用いてすみやかに解析を進めることを計画している。
「あかり」チームが準備している「あかり」全天データのチーム内公開のスケジュールがずれこんだため、半年マップを使った、本研究での黄道光の本格的な解析のスタートもスケジュールを調整した。そのため、本格的なデータ解析に用いる計算機購入を25年度ではなく26年度に変更したため次年度使用額が生じることとなった。26年度は、繰り越した予算で計算機を購入し、半年マップの本格的な解析を進める予定である。その他の予算は計画通り、主に解析打ち合わせ旅費、成果発表と論文投稿に使用する。
すべて 2014 2013
すべて 学会発表 (5件)