研究課題
基盤研究(C)
本研究では流体力学計算と輻射輸送計算を完全に統合した自己矛盾のない銀河形成の輻射流体模型を世界で初めて構築することを目指す。本年度は、輻射輸送の効果を比較するためのテンプレートとしての輻射輸送の影響を考慮しないモデル計算を順次行っていく。実際の計算は、これまでに開発してきた自己重力多体系と自己重力流体系が混在した系のハイブリッドシミュレーションコードAFD2を使用した。ここでは、星やダークマターは自己重力多体系として取り扱う一方で、ガスなどの流体系に関してはAUSM-DVというメッシュ法の有限体積法をベースにしたスキームを採用している。計算コードは3次元流体力学に加えて、重元素量に依存した放射冷却の効果(Sutherland & Dopita 1993)とガス、星、ダークマターの自己重力、ガス、超新星爆発による重元素ならびに熱エネルギーは対応する各流体格子点に源泉関数として与え、その後は流体力学及び熱力学の方程式にしたがって変化していくことになる。計算は、ダークマターの密度揺らぎが最大膨張半径に到達した赤方偏移からはじめ、そのなかで小さな密度揺らぎが成長し、やがて星を形成し、銀河を形成していく様子を調べる。このような計算により、ガスの密度分布や温度分布、重元素分布、あるいは星の質量や位相空間での分布、重元素分布などの時間変化を定量的に調べた。また、このような計算と比較する為、流体粒子法のSPHとN-体計算をカップルさせたシミュレーションコードを新たに作成した。さらにそのコードをGraphics Processing Unit(GPU)を多数搭載した筑波大学のスーパーコンピュータ HA-PACS 上で走るように改良し、計算加速装置搭載型の大規模並列計算機でシミュレーションを効率よく行う為のシミュレーションコードのプロトタイプを作成した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に従い、GPUを搭載した並列計算機上での講師流体コードの実装及び、流体粒子法のSPHとN-体計算をカップルさせたシミュレーションコードの作成を行った。さらにそのコードをGraphics Processing Unit(GPU)を多数搭載した筑波大学のスーパーコンピュータ HA-PACS 上で走るように改良し、計算加速装置搭載型の大規模並列計算機でシミュレーションを効率よく行う為のシミュレーションコードのプロトタイプを作成した。
輻射輸送計算の高速解法として、空間格子点上の各点から各点への輻射伝播をすべて計算するLong Characteristic 法に近い精度で計算を行うことのできる、Accelerated Ray Tracing (ART)法をAFD2コードに実装し、輻射流体コードのテスト及び格子点が128x128x128程度の低分解能のテスト計算をおこなう。さらに、SPHコードにも輻射輸送スキームの導入を検討する。このようなコードを作成した後、銀河形成の現実の問題に適応させていく予定である。
輻射輸送計算法における方法論について議論する為、海外研究者との交流を深める2-3か月程度の滞在を予定していたが、上手く時間が取れず実施できなかった。平成26年度は、できる限り長期間の滞在を予定している。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件)
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