研究課題
近年、様々な大質量星および大質量星クラスターの観測サンプルの増大により、より統計的・系統的な議論が可能となってきた反面、様々なタイプの大質量星が発見されてきており、その進化シナリオはこれまで提唱されてきたものと異なる可能性が高まっている。本研究ではその問題を解決すべく、新しい観測手法を用いた研究を推進している。平成28年度は研究計画に記載した内容の中で、これまで行ってきた大質量星クラスターの探索サーベイ観測の結果について再度データを精査を行った。我々の観測領域は星間物質による減光が大きな領域であるとともに、物理環境が異なる複数クラスターのサンプルであることが特徴である。そのため特に環境金属量の違いに着目した星の種族や要素数の議論が可能となっている。現在、銀河系内大質量星クラスターおよび大小マゼラン星雲における観測結果を議論中であり、早期の論文化を進めている。第一論文として本研究の特徴的な観測手法と得られる結果について、続編として各領域毎にその特徴をまとめたもの、さらに質量放出量をパラメータとして大質量星の異なるサブクラスの絶対等級とHe輝線超過量が相関することを初めて示した結果となっている。研究課題のうち、新規開発項目では、低温で用いられるアクチュエータの基礎実験および分光器のシステム設計の評価を行った。昨年度に引き続き、分光素子の駆動機構の選択肢の一つであるボイスコイルモータの特性試験を行い、発熱量・ヒステリシス・駆動力などの条件を満たすモデルが実現可能であることが示された。さらに効率のよい線材が使える可能性もあり、引き続き評価を継続していく。他にも低温で動作可能なピエゾ素子も新たに採用される可能性があり、詳細な特性評価試験を行う予定である。光学素子を含めた分光器全体としての概念設計も構築されつつあり、結果として最終的な分光器の設計・製作へと進められる状態まで至った。
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Proceedings of the SPIE
巻: 9912 ページ: 991218, 991225
10.1117/12.2231889
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/TAO/
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kibans/anir/
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/tanaka_lab/nice.html
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/tanaka_lab/astrophysics.html