研究課題
本研究では狭帯域チューナブル・フィルター(UTF)と偏光解析装置を用いて太陽彩層の偏光観測を行うことを目的とする。UTFは京都大学附属天文台で開発してきた波長スキャンにより短時間に像分光観測を可能にするフィルターである。このフィルターは510nmから1100nmまでの波長域において、太陽彩層で生成される様々なスペクトル線に対してチューニング可能である。一方、偏光解析装置は高速で回転する中空アクチュエーター(1分間で200回転)を採用し、広い波長域で使用可能な遅延量127度の波長板を回転させ偏光を取得する。この装置はChro-Mag-Ro(Chromospheric Magnetograph with a Rotating wave-plate)と命名された。本研究では次の三段階を設定し計画を遂行した。1、UTFとChro-Mag-Roの性能評価: 京都大学飛騨天文台の分光ミュラー行列測定装置を用いて装置の偏光特性を測定した。この波長板は光学メーカー(ルケオ社)と京都大学が共同で開発し、観測に使用できる十分な精度を満たしていることが分かった。2、海外大型望遠鏡のバックエンド装置としての利用: 我々は2015年1月に中国国家天文台撫仙湖太陽観測所の新真空太陽望遠鏡を用いて像分光観測を行った。この観測ではChro-Mag-Roは搬送できなかったため見送られた。3、太陽彩層の分光偏光観測: 京都大学飛騨天文台ドームレス望遠鏡でChro-Mag-Roを設置し、2015年9月にCa 854.2nmで彩層偏光観測を行った。曇天で使用できるデータは得られなかったが、Chro-Mag-Roの変調が正しい事を確認した。さらに、2016年1月に国立天文台三鷹キャンパス気球実験棟にChro-Mag-Roを設置して偏光観測を行い、ノイズは多いが円偏光シグナルの取得に成功した。
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The proceedings of the Coimbra Solar Physics Meeting 2015
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