研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度から引き続いてパリ天文台の研究者の作成したソフトウェアの改良を行い、すばる望遠鏡のSuprime-Camで撮られた画像を使って太陽系小天体を検出を試みた。また、台湾の國立中央大学の研究者とともに、天体カタログを使った別の検出方法で太陽系小天体を検出する方法も開発した。 2002年9月年に撮られた画像セットは同じ視野を長時間にわたって撮像したもので、開発したソフトウェアで太陽系小天体の検出を行い、各天体の光度変化を測定して自転周期を推定した。この結果はフィンランドのヘルシンキで2014.6.30-2014.7.4に開催された国際会議ACM2014で発表し、現在論文にまとめている最中である。 2005年8月に撮られた画像セットは同じ視野を短時間だけ数枚撮ったデータセットだったので、これまでの我々のソフトウェアでは自動検出が難しかった。そのため、台湾の國立中央大学の研究者の協力を得て、画像から天体カタログを作成し、検出された天体の位置情報に基づいて移動天体を検出するプログラムを考案した。この方法で検出された移動天体のカラーを測定した結果はU.S.A.のアリゾナで2014.11.9-14の開催された46th Annual Meeting Division for Planetary Sciencesで発表し、次の論文にまとめた。 A search for subkilometer-sized ordinary chondrite like asteroids in the main-belt, H.W. Lin, Fumi Yoshida, Y.T. Chen, W.H. Ip, C.K. Chang, Icarus 254 (2015) 202-212. 2014年3月に本格的なHyper Suprime-Cam(HSC)を使ったサーベイが始まってからは、HSCの画像データから太陽系小天体を検出することを始めた。現在、様々な移動速度の天体をより正確に測光できるような手段を構築中である。
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